2020年度新設「副業・兼業労働者の健康診断助成金」|副業・兼業労働者の健康管理の一助に

副業・兼業の就労ルールについて法整備が進む中、独立行政法人労働者健康安全機構は「副業・兼業労働者の健康診断助成金」を新設し、複数の会社で働く人の健康管理への取り組みを促しています。自社における副業・兼業ルールの検討と併せて、健康診断の実施の有無についても目を向けましょう。

浮き彫りになる、パートタイム労働者への健康診断未実施状況

副業・兼業にまつわる課題といえば「労働時間の長時間化」や「健康確保の難しさ」にあり、副業・兼業容認企業においても、目下、試行錯誤のうちに適正化に向けた取り組みが講じられているところです。
労働政策審議会安全衛生分科会が2020年6月10日に報告した「副業・兼業に関する事業所調査結果(速報)」では、短時間の掛け持ち副業労働者に対する不十分な健康確保措置状況が明らかになっています。
下記は、就業形態別の定期健康診断実施状況を示すもので、いわゆる「常時使用する労働者(週の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上の労働者)」に該当しないパートタイマーに対する実施率の低さが伺えます。

出典:厚生労働省「第130回労働政策審議会安全衛生分科会(資料)_副業・兼業を行う場合の健康確保措置について

副業労働者であれば、本業で健康診断を受けることができるかもしれません。しかしながら、短時間労働で複数企業に雇い入れられている兼業者に対しては、いずれの就労先でも適切な健康確保措置が講じられないケースは無きにしも非ず。副業・兼業の容認企業としては、労働者個々の状況に配慮し、必要に応じて健康診断の対象とすることが目指されます。

上限は1労働者あたり1万円、1事業場あたり 10万円の「副業・兼業労働者の健康診断助成金」

こうした状況に鑑み、独立行政法人労働者健康安全機構では2020年度より、常用労働者に比べて就労時間が短い副業・兼業労働者に対する健康診断の実施を促進することを目的に、「副業・兼業労働者の健康診断助成金」を創設しました。要件等は以下の通りです。

対象事業場

・ 労働保険の適用事業場であること

(厚生労働省のホームページ掲載の「労働保険適用事業場検索」で該当した事業場)

対象となる取り組み

次の①②の要件を満たしていること

  1. 次の要件を満たす副業・兼業労働者に対して一般健康診断を実施している、あるいは自発的に一般健康診断を受診した当該労働者に対して健康診断の費用を負担していること
  2.  
    a 40歳未満の労働者(一般健康診断を実施する日の属する年度に40歳の誕生日を迎える労働者を除く)
    b 本業や副業を問わず、雇用されている全ての事業場において1週間の労働時間数が当該事業場における同種の業務に従事する通常の労働者の一週間の所定労働時間数の4分の3未満の労働者

  3. 自社の使用者や労働者以外の者に一般健康診断の実施等を行わせていること

助成対象・金額

・ 一般健康診断費用
1副業・兼業労働者当たり1回限りとし、助成額は1副業・兼業労働者あたり1万円、
ただし1事業場あたり 10万円を上限とする

副業・兼業労働者への健康診断の実施については、会社が契約した健診実施機関で受診させた場合でも、副業・兼業労働者が任意の健診機関を直接受診した場合でも助成金対象とされます。
対象となる取り組み(健康診断の受診)期間は2020年4月1日から2021年3月31日まで、申請期間は2020年5月29日から2021年6月30日までとなっていますが、予算の都合上、早期に締め切られることもあるそうです。

参考・出典:独立行政法人「副業・兼業労働者の健康診断助成金

事業者に実施義務のある、労働安全衛生法上の「定期健康診断」とは?

ところで、労働安全衛生法では、事業者は労働者に対して、医師による健康診断を実施しなければならないこととしています。健康診断には、幅広く常用労働者等を対象とする一般健康診断と、有害業務に従事する労働者に対して行う特殊健康診断、じん肺健診、歯科医師による健診があります。
今号でご紹介した「副業・兼業労働者の健康診断助成金」の対象となる一般健康診断の種類や法定の対象者は、下記の通りです。

出典:厚生労働省「安全衛生関係リーフレット等一覧_労働衛生関係_健康診断を実施しましょう

雇入れ時や定期に行う健康診断の対象となる「常時使用する労働者」とは、次の①②のいずれの要件も満たす労働者を指します。

  1. 期間の定めのない契約により使用されている者であること
    なお、期間の定めのある契約により使用される者であっても、更新により1年以上使用されることが予定されている者、更新により1年以上使用されている者は対象となる
  2. 1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること

副業・兼業容認企業の責任として、①②の要件を満たさない副業・兼業労働者に対しても、必要に応じた健康確保措置を講じてまいりましょう!

副業・兼業労働者の健康管理は「適切な勤怠管理」から!無料のクラウド勤怠管理システムIEYASUを活用し、複雑な働き方の労働時間把握にもしっかり対応しましょう♪

LINEで送る

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事