同じ行動を取る場合でも、その人の心の在り方によって結果は多少なりとも変化するものです。ビジネスの場では、このような人間の心理によって結果が変わる現象を「ホーソーン効果」と言います。
ではこのホーソーン効果を理解し、どう仕事に活かすことができるのでしょうか。
ホーソーン効果:期待されることで人は動く
人間は注目されると、結果を出そうと頑張るものです。注目を浴びることで、「その期待に応えたい」という心理が働くからです。この相手の期待に応えたいという気持ちが好結果を生みだす効果のことを「ホーソーン効果」といいます。
ホーソーンという名前は、この研究のための実験が行われたアメリカにある工場の名前に由来します。実はこの実験はホーソーン効果の調査ではなく、単に「どのような環境を作れば効率的な作業ができるのか」ということを調査するための実験でした。しかし有名な"ハーバード大学"が行った実験だったことで、参加したメンバーに「大学の実験に協力している」「自分たちは選ばれた」という意識が働き、悪条件でもモチベーションがアップしたのだと言われています。
ホーソーン効果の活用方法
ホーソーン効果は、主に多数の人間を指導する場合において、メンバーのモチベーション向上に役立てることができます。
一人で淡々と作業することももちろん大切ですが、誰かと協力したり競い合うということでも、やはり集中力を継続させることができ、やる気も出るようになるのです。
「他人から見られている」ということをシステムとして組み込むことが効果的です。その上で、例えば高いパフォーマンスを発揮することができれば、同僚あるいは上司からメッセージカードを受け取るという仕組みを導入してみましょう。すると、メンバーがお互いに励まし合うことで仕事に対する意欲を高めることが期待できるとともに、他人に見られている、他人から褒められたいという「他者肯定感」をアップさせることができます。
ホーソン効果で自己成長をはかれ!
自らの成長にもホーソーン効果を活かすことが可能です。
例えば禁煙したいと思っているあなた。タバコを持ち歩かないようにしたり喫煙所に近寄らないようにするだけでは十分とは言えません。非喫煙者や禁煙成功者と一緒に行動することで、禁煙はより成功させやすくなります。喫煙の習慣がない人、喫煙をやめた人と接することで、タバコを断ち切る影響を受けられるようになるのです。
何かなりたい自分の姿があるのであれば、その理想に近い人と一緒に行動するようにしてみましょう。人は誰でも他人から影響を受けています。理想の姿に近付くことで、良い影響を受けることができるのです。
「注目される」環境を作り出せ!
他者から注目を浴びることで好結果を出すホーソーン効果。うまく「注目される」環境を作り出すことで、個人の成長も組織としの目標達成もおり現実的なものとできます。物理的な労働条件を整えることも良いですが、人の心理に寄り添った施策も考えてみましょう。