【新型コロナウイルス】雇用保険基本手当の「受給期間」と「給付日数」の延長が特例的に認められます

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、離職者の求職活動は、現状非常に厳しい状況となっています。こうした折、国会では雇用保険の基本手当に関わる特例創設を盛り込んだ雇用保険特例法が、2020年6月12日に成立しました。今号では、このたび決定した求職活動の長期化に対応する雇用保険基本手当の「給付日数の延長」、さらに新型コロナウイルス感染拡大を背景に既に運用されている「受給期間延長」について解説しましょう。

雇用保険の受給期間は「最大3年延長」が可能に

こちらは今春より既にアナウンスされている内容ですが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、下記のいずれかに該当する場合、雇用保険の受給期間が最大3年間延長される措置が講じられます。

  1. 新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からハローワークへの来所を控える場合
  2. 新型コロナウイルスに感染している疑いのある症状がある場合
    ※風邪の症状や発熱がある場合、強い倦怠感や息苦しさがある場合など
  3. 新型コロナウイルス感染症の影響で子{小学校、義務教育学校(小学校過程のみ)、特別支援学校(高校まで)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園などに通学、通園するものに限る}の養育が必要となった場合

雇用保険の受給期間は、離職の日の翌日から起算して原則1年間ですが、上記の理由により引き続き30日以上働くことができない場合、申請することにより、働くことができない期間(最大3年)を本来の受給期間(離職日の翌日から1年間)に加えることができます。
こうした運用は、出産や育児、疾病等でも認められており、このたび新型コロナウイルス感染症の影響を受ける求職者にも適用されることになりました。

新型コロナウイルス感染症に伴う雇用保険の受給期間延長について、詳細は下記よりご確認いただけます。

参考:東京労働局「雇用保険受給資格者の皆様及びこれから手続きされる皆様へ~新型コロナウイルス感染症に伴う雇用保険の受給期間延長について~

雇用保険の基本手当の給付日数は「最大60日」延長可能に

加えて、2020年6月12日に成立した雇用保険特例法では、下記の要件に当てはまる場合、雇用保険の基本手当給付日数が最大で60日間(※)延長されることになりました。
※35歳以上45歳未満で所定給付日数270日、45歳以上60歳未満で所定給付日数330日の場合は30日の延長

出典:東京労働局「雇用保険受給資格者の皆様及びこれから手続きされる皆様へ~新型コロナウイルス感染症等の影響に対応した給付日数の延長に関する特例について~

基本手当の給付日数延長については、離職日によって対象者が異なりますので注意が必要です。

「受給期間」と「給付日数」の違いとは?

さて、ここでは「受給期間」と「給付日数」それぞれの特例的な延長について解説しました。ところで、「受給期間」と「給付日数」の違いをご存じでしょうか?

受給期間とは、基本手当を受けられる期間のことで、原則として離職した日の翌日から1年間を指します。

出典:千葉労働局「基本手当の支給を受けられる期間(受給期間)

一方で、給付日数とは、基本手当等がもらえる上限の日数のことを指します。具体的な日数は、離職理由や離職者本人の状況によって異なり、下記よりご確認いただけます。

参考:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数

該当者には、離職証明書の具体的事情記載欄(事業主用)に「(コロナ関係)」と記載

新型コロナウイルス感染症の影響による離職について、雇用保険基本手当の給付日数に特例が設けられたことに伴い、事業主は離職証明書の記載に留意する必要があります。

出典:鳥取労働局「離職証明書の作成に当たっての留意事項~新型コロナウイルス感染症の影響により離職した場合~

事業主が離職証明書に上記の通り明記することにより、ハローワーク側では給付⽇数延長の対象者を迅速に把握し、対象者に対してスムーズかつ適切な対応がとれるようになります。

新型コロナウイルス感染症の影響により、労働・社会保険関連で様々な特例措置が講じられています。事業主様におかれましては、一つひとつの内容把握につとめ、適切な対応ができるようにしておきましょう。

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