ゼロから始める労務管理!「年次有給休暇」をパート・アルバイトに付与していますか?

「パートやアルバイトから有休申請をされて驚いた」という経験はないでしょうか?

しばしば「フルタイム勤務の正社員に対してのみ付与するもの」と誤解されがちな有休ですが、パートやアルバイト等への比例付与も法律に定められています。今一度、「年次有給休暇」の基本を総復習しましょう。

「年次有給休暇」とは?付与日数や理由、給料について

年次有給休暇とは、一定期間勤続した労働者に対して付与される休暇のこと。労働者の心身の疲労回復、ゆとりある生活の実現のために与えられます。「有給」の休暇であるため、休みをとっても給料が支払われます。

年次有給休暇が付与されるための2要件

年次有給休暇は、以下の2要件を満たす労働者に付与されます。

  1. 雇入れの日から6ヵ月継続して雇われている
    「6ヵ月継続勤務」については、試用期間を含む実際の勤続期間から判断します。当初の雇用契約書上の契約期間が「3ヵ月」等とされていても、以降、契約書の交付がなく自動更新されている場合には6ヵ月以上勤務となったタイミングで要件を満たすことになります。
  2. 全労働日の8割以上を出勤している
    出勤率要件は、当初の契約内容を基準に、契約日数の80%以上出勤しているかどうかを確認します。例えば、「契約上週4日勤務の労働者が、実際には週2日しか勤務しなかった」という場合、出勤率50%のため有休は付与されません。
    一方で、「週2日勤務の契約で実際には週4日勤務」のような事例でも、有休付与日数はあくまで契約内容を基準とした週2日勤務の場合の比例付与となります。ただし、契約内容と実態がかけ離れている場合には、契約内容の見直しが必要になります。

年次有給休暇の日数

有休の付与日数は、以下の通りです。週5日勤務の労働者だけでなく、週1~4日勤務の労働者に対する比例付与もありますので、適切に対応できる様に注意しましょう

① 原則的な有休付与日数(週5日勤務)

② 所定労働日数が少ない労働者に対する比例付与日数
所定労働時間が週30時間未満で、かつ、週所定労働日数が4日以下または年間の所定労働日数が216日以下の労働者が対象

年次有給休暇の取得に理由は不問

労働者からの有休申請書等で「理由」の記載を求める会社は少なくありませんが、こうした取扱いは改めるべきです。有給休暇は労働者が権利として取得できる休暇であり、理由を問うべきではないとされています。よって、有休取得日は労働者が指定することによって決まり、理由を問わず、原則として使用者は指定された日に年次有給休暇を与えなければなりません。

ただし、労働者の指定した日に年次有給休暇を与えることで事業の正常な運営が妨げられる場合、使用者には有休取得日を変更する権利が認められています。

年次有給休暇を取得した場合の給与計算

有休取得日には、賃金が支払われます。月給制の場合、有休取得日について減給しない取り扱いをすることで対応可能ですが、月給制以外の場合には以下の3つの方法のうちいずれかを用います。どの方法で算出するかは、あらかじめ就業規則等に定めておきましょう。

◎ 平均賃金
過去3ヵ月間の賃金から平均を算出し、次のうちどちらか高い方の金額
⇒ 過去3ヵ月間の賃金合計/過去3ヵ月間の日数
⇒(過去3ヵ月間の賃金合計/過去3ヵ月間の労働日数)×0.6

◎ 通常の賃金
所定労働時間勤務した場合に支払われる通常の賃金

◎ 標準報酬日額
健康保険法に基づく標準報酬日額(標準報酬月額の30分の1相当額)を用いる方法
※ 労使協定締結が必要となります。

有休付与・消の管理は、クラウド勤怠管理システム「IEYASU」で

今号では、年次有給休暇の基本ルールについて解説しました。時間単位付与や年5日取得義務等、有休についておさえるべきポイントは多岐に渡りますが、まずは最低限、今号で触れた内容を理解することが不可欠です。

なお、有休の付与・消化状況を適切に管理するために、使用者には「年次有給管理簿の作成と3年保存」が義務付けられています。実務上は、厚生労働省公開のひな型の活用の他、無料の勤怠管理システム「IEYASU」を用いたクラウド上で記録・保管も認められます。何かと煩わしい有休管理もIEYASUにお任せください!

関連記事:『【休暇管理画面の変更】有給休暇に関する項目を追加しました(時間有給の管理・有給休暇の付与日と基準日)

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