2022年6月末日を期限としていた雇用調整助成金コロナ特例を始めとするコロナ関連助成金について、このたび、2022年7~9月の期間についても延長見込みである旨が公表されました。企業においては当面、助成金を活用した雇用維持が可能となりますが、一方で、かねてより問題視されている不正受給への対策が強化されていますので、引き続き適正な申請を徹底しましょう。
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雇用調整助成金・休業支援金ともに、現行の措置が2022年9月末日まで延長予定
出典:厚生労働省「令和4年7月以降の雇用調整助成金の特例措置等について」
コロナの影響による事業縮小に伴い従業員に支払った休業手当の一部を助成する「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」、及びコロナ関連の休業について企業から休業手当の支払いを受けられない従業員が国に直接申請できる「休業支援金」については、2022年6月までの助成措置がそのまま2022年9月末まで延長となる見込みです。雇用調整助成金・休業支援金はともに雇用保険被保険者を対象とする制度ですが、雇用保険被保険者以外の労働者を対象とする「緊急雇用安定助成金」「休業給付金」についても同様に延長予定となっています。
小学校休業等対応助成金・支援金も、2022年7~9月の延長見込み
併せて、新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等により仕事を休まざるをえなくなった保護者の皆様を支援するための「小学校休業等対応助成金(労働者を雇用する事業主の方向け)」、及び「支援金制度(委託を受けて個人で仕事をする方向け)」についても、2022年6月までの助成内容が2022年9月末日まで延長となる方針が示されました。
出典:厚生労働省「令和4年7月以降の小学校休業等対応助成金・支援金の内容等について」
併せて、小学校休業対応助成金に関する相談対応のために都道府県労働局に設置されている「小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口」についても、2022年9月末日まで延長となります。
コロナ禍の助成金、不正受給は厳禁です!
ここまで解説してきた通り、雇用調整助成金コロナ特例を始めとするコロナ関連の助成金が、2022年9月末日まで延長となります。コロナ禍に突入し3年目を迎え、社会的には徐々に状況が落ち着きつつあるなと感じられる一方、現場に目を向ければ依然として厳しい状況下で苦戦するケースも少なくありません。こうした企業においては、引き続き助成金活用を主軸に、事業継続、雇用維持に努めてまいりましょう!何かと複雑な雇用関係助成金申請のご相談は、社会保険労務士までご相談ください。
支給後も継続的に調査が行われます
ところでここ最近、持続化給付金の不正受給が大々的に報道されています。本給付金の申請受付自体はすでに2021年2月15日で終了していますが、不正受給に関わったとして検挙されるケースは全国で相次いでおり、これまでに3000人以上に上ると言われています。「なぜ今になって?」と思われる方も多いと思いますが、コロナ禍の給付であるという性質上、審査・支給までの迅速性が重視されたためです。持続化給付金については、中小企業庁が不正受給対応の専門チームを発足し、継続的に調査が行われています。「支給されたからもう安心」ということではないのです。
雇用調整助成金の申請誤り、返還希望は労働局へ
同様のことは、雇用調整助成金等にも言うことができます。都道府県労働局は、不正受給対応について都道府県警察本部との連携を強化しており、2021年末までに261件、総額約32.3億円の不正受給が発覚しています。報道でも、雇用調整助成金詐欺に関わるものを目にする機会がありますね。不正受給は、何かしらのきっかけから高い確率で発覚します。すでに申請・受給済みの雇用調整助成金について、万が一申請内容に誤りがあった場合、もしくは返還を希望する場合には、速やかに労働局窓口に連絡する必要があります。
参考:厚生労働省「雇用調整助成金等の不正受給対策について」