勤怠管理上、「休日をどう定義するか」は労働日数の確定や割増賃金の算出を行う上で、重要なポイントとなります。労働基準法上の「休日」のルールを正しく知り、御社に合った休日設定を検討しましょう。
目次
法律上与えなければならない「休日」は、「1週1休」または「4週4休」
今や日本企業においては「週休2日」がすっかり主流となっていますが、労働基準法上、休日は「少なくとも毎週1回、または4週間を通じて4回以上」とされています。
なぜ「週休2日」が主流なの?
週休2日が日本企業のスタンダードになった背景には、前号で解説した「労働時間のルール」が深く関わっています。労働基準法上では、従業員を働かせてよい時間(法定労働時間)が「1日8時間、週40時間」とされており、これを基準に所定労働時間を定めようとすれば必然的に「週5日勤務(1日8時間×5日=週40時間)」となるからです。
「週6勤務」の場合、所定労働時間はどう定める?
仮に「週6勤務、週休1日」とする場合、「1日8時間、週40時間」の法定労働時間を踏まえて所定労働時間はどのように設定するべきでしょうか?
1日8時間を基準にしてしまうと週5日で40時間に達してしまいますから、労働時間の調整が必要です。パターンとしてはいくらでも想定できますが、例えば、以下のように設定すると法定労働時間の枠組みの中で週休1日を実現できます。
- 月~金 7時間勤務
- 土のみ 5時間勤務
- 日 休日
「4週4休」とはどのような休み方?
「週に○日」という休日の考え方は比較的イメージしやすいですが、一方で、労働基準法上のもうひとつの休日の設定方法である「4週4休」についてはいまいちピンとこない方も多いかもしれません。
「4週4休」とは、文字通り、「4週間のうちに4日の休日を取得させましょう」というルールのこと。起算日を特定した上で、その起算日から4週間ごとの区切りの中で4日ずつ休日を設けます。例えば、4月の第一日曜日を起算日とした場合は以下のように4週間を区切っていきます。図中の5月1日は4月度の枠に、5月30、31日は6月度の枠に、6月27~30日は7月度の枠にそれぞれ算入します。
4週4休の場合、赤枠内で、4日の休日を設定できれば法律上の要件を満たせることになります。ただし、4週4休を採用した結果、法定労働時間を超えて連続勤務となる場合、「週40時間」を超える部分での割増賃金算出や、労働者に対する健康確保措置の必要性について十分に留意する必要があります。
また、「週休1日が確保されないこと」は、同業他社との比較の中でマイナス要因になる可能性があることも忘れてはなりません。少子高齢化の影響を受け、今後はいずれの企業においても働き手不足が課題となります。こうした状況下において、4週4休を採用した場合の求人募集への影響は決して小さなものとは言い難いでしょう。
「法定休日」「所定休日」とは?
企業の労務管理ご担当者様であれば、「法定休日」「所定休日」という言葉を耳にされたことがあるのではないでしょうか?これらの言葉を、それぞれ正しく区別して使っているでしょうか?
例えば、週休2日制を想定した場合、毎週発生する2日の休日は以下の通り、法定休日と所定休日に区別できます。
- 法定休日:労働基準法上、必ず与えなければならない毎週1回の休日
- 所定休日:会社が独自に定める、法定休日以外の休日
「法定休日」に労働すると割増賃金率は35%
法定休日と所定休日とでは、労働した際の割増賃金率が異なります。
まず法定休日に労働した場合は「休日労働」の扱いとなり、35%の割増賃金率が適用となります。一方で、所定休日に労働した場合は、休日労働の扱いとはなりません。ただし、所定休日に労働することにより、週40時間の法定労働時間を超える場合は「時間外労働」として25%の割増賃金率を適用します。
法定休日はどう決まる?
法定休日と所定休日をどのように区別するかについては、原則として会社の定めに依ります。就業規則等で特定の曜日を法定休日と定めていればその通りの認識となりますが、一方で、何も定めのない場合には以下の行政解釈に則って処理します。
法定休日が特定されていない場合で、暦週(日~土)の日曜日及び土曜日の両方に
労働した場合には、当該暦週において後順に位置する土曜日における労働が法定休日労働となる。
ただし、日曜起算ではない会社では、その曜日からカウントして後順に位置する日の労働が休日労働扱いとなります。
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