増加傾向にある企業の副業・兼業受け入れに伴い、労働時間通算ルールの徹底を!

働き方改革やコロナ禍の影響を受け、ひと昔前と比較すると格段に、多様な働き方が認められるようになってきています。とりわけ、政府の副業・兼業解禁方針により、企業においては条件付きながらもこれを容認する傾向にあることに加え、昨今のテレワーク浸透も相まって、副業・兼業に対する労働者側の意識も高まりをみせている様です。今号では、企業における副業・兼業の対応状況を考察すると共に、副業・兼業容認に伴う労働時間通算ルールについて確認しましょう。

企業における副業・兼業人材の受入割合は大幅に増加傾向

株式会社マイナビが、中途採用を行った企業の人事担当者を対象に、2023年1~7月に実施した「企業による多様な働き方実現に関するレポート(2023年)」によると、副業・兼業人材を受け入れている企業は65.2%と前年比+18.8ポイントで大幅に増加していることが分かります。また、調査対象企業の70.8%が、「副業・兼業制度がある」と回答しており、企業における副業・兼業が浸透している実情が伺えます。


また、企業で副業・兼業を容認する理由としては、従業員エンゲージメントやモチベーション、従業員のスキルを高めるためとする回答割合が増えている点に注目しましょう。もちろん、人材確保等の企業側の都合も割合として決して低くありませんが、それ以上に、従業員のニーズに応える形での副業・兼業容認といった側面が強いことが伺えます。一方で、コロナ禍では、「社員の収入補てん」の意味合いでの副業・兼業容認企業も少なくありませんでしたが、本調査では前年から減少傾向にあります。

出典:株式会社マイナビ「企業による多様な働き方実現に関するレポート 2023年版

副業・兼業容認企業が確認すべき、労働時間通算ルール

現状、御社では副業・兼業を容認されているでしょうか?また、実際に副業・兼業人材の受け入れを行っているでしょうか?副業・兼業を認める企業において、必ず理解し、徹底すべきは「労働時間の通算」です。

他社での労働時間を把握し、通算して、時間外・休日労働時間数を算出する

企業も労働者も安心して副業・兼業を行えるようにするためには、副業・兼業に伴う長時間労働化を防ぐ必要があります。そのために必要なのが、労働時間の通算です。具体的な考え方は以下の通りです。

✓ 使用者は、労働者の自己申告等で、副業・兼業先での労働時間を把握し、自社での労働時間と足し合わせる
✓ 副業・兼業先での労働時間を自社での労働時間と合わせた結果、自社での労働が、1週40時間または1日8時間を超える法定外労働に当たる場合、36協定の締結、届出、時間外労働に対する割増賃金の支払いが必要
✓ さらに、自社と副業・兼業先での法定外労働の時間と休日労働の時間を合わせて、単月100時間未満、複数月平均80時間以内としなければならない

 

副業・兼業に伴う労働時間通算に対応するために、企業側は定期的に従業員の副業・兼業に関わる情報収集を行うこと、労働者側は各事業場での労働時間を把握してそれぞれの使用者に報告することを徹底する必要があります。

労働時間通算の原則的な手順を確認

労働者から労働時間の報告を受けた際、企業側では正しく通算処理を行い、時間外・休日労働を把握する必要があります。所定労働時間(事業場で定められた労働時間)及び所定外労働時間(所定労働時間を超えて働いた時間)の通算ルールについては、以下の図が参考になります。

出典:厚生労働省「副業・兼業時の労働時間の通算のポイント

「副業・兼業の労働時間通算ルールについてよく分からない」という場合は、労務管理の専門家である社会保険労務士までご相談ください。「そもそも労働時間管理がうまくいっていない」という現場は、HRMOS勤怠byIEYASUをご活用いただきながら、政府のガイドラインに則した適正な労働時間管理を行ってまいりましょう!

関連記事:『副業・兼業労働者の勤怠管理はどうする?|副業・兼業労働者の労働時間管理の指針が公開

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