新規雇入れ時に使える助成金「トライアル雇用助成金」とは?

アフターコロナにおける社会・経済活動の活性化に伴い、新規雇入れに目を向ける企業が増加傾向にあるようです。2023年度に入り、弊事務所には、新規雇入れ時に活用可能な助成金に関わるご相談が非常に多く寄せられています。実際のところ、数ある雇用関係助成金の中でも新規雇入れ時に使えるものは限定的ではありますが、今号では特に話題に挙がることの多い「トライアル雇用助成金」について解説しましょう。

「トライアル雇用助成金」とは?採用コスト削減や雇用ミスマッチ防止を実現

トライアル雇用助成金とは、一般的に安定的な就職が難しいとされる求職者を、ハローワークなどの職業紹介事業者を介して3ヶ月間試用雇用することで、企業が受け取ることのできる助成金です。「新たに従業員を雇い入れたいけれど、採用活動が上手くいかず人が集まらない」「採用コストを抑えたい」「せっかく採用してもすぐに辞めてしまうので、相手をじっくり見極めて本採用したい」といったニーズに応えてくれます。
トライアル助成金はいくつかのコースに分かれていますが、今号では「一般トライアルコース」についてご紹介します。

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の概要


トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)は、事前にトライアル雇用求人をハローワークなどの職業紹介事業者に提出し、これらの紹介により、対象労働者を原則3ヶ月の有期雇用で雇い入れ、一定の要件を満たした場合に、1ヶ月あたり最大4万円(最長3ヶ月)の助成金を受けることができる助成金です。

トライアル助成金(一般トライアルコース)の対象労働者

① 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している人
② 紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている人
③ 妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている人
④ 紹介日時点で、ニートやフリーター等で45歳未満の人
⑤ 紹介日時点で、就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する人
生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者、生活困窮者

参考:厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の対象者変更に関するリーフレット

トライアル助成金(一般トライアルコース)申請手続きの流れ


トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)を活用するための大まかな手順を確認しましょう。

① ハローワークなどの所定の職業紹介事業者において「トライアル雇用求人」を提出する
② 紹介を受けた求職者と面接し、選考を経てトライアル雇用を開始する
※トライアル雇用の選考は、書類ではなく面接で行う努力義務があります
※労働契約に際しては、1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度
(30時間を下回らないこと)であることが必要です
③ トライアル雇用開始から2週間以内に、「トライアル雇用等実施計画書」及び「雇用契約書等の労働条件が確認できる書類」をハローワークなどに提出する
④ トライアル雇用終了日から2ヶ月以内に助成金支給申請を行う
※求職者の継続雇用の有無は問いません

労働局での審査後、支給決定がされると、申請から2~3ヶ月後に助成金が振り込まれます。

参考:厚生労働省「トライアル雇用助成金リーフレット(事業主向け)

メリットだけでなく、デメリットも考慮の上でご活用を

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)は、新規雇入れへの有効活用が可能な助成金のひとつです。企業にとっては、これまで以上に幅広い層の中から求職者を試用する仕組みのため人材確保がしやすいこと、ハローワークなどを活用することで採用コストを抑えられること、3ヶ月間の試用が前提であり採用のミスマッチが起こりにくいこと等のメリットがあります。また、複数のコース設定があること、所定の要件を満たす建設技能労働者の雇い入れの場合には一般トライアルコースに上乗せして支給を受けられる等、御社の状況に応じた活用ができる点も、本助成金の魅力と言えるでしょう。
一方で、職業経験、技能、知識の不足等から安定的な就職が困難な求職者が対象となっているため人材育成に時間・費用がかかることが想定されたり、助成金申請に係る事務負担が生じたりといったデメリットも想定されます。また、雇用関係助成金の共通要件として、労働関係法令に則した労務管理が行われていることも、申請における絶対条件となります。政府ガイドラインに則った「客観的な記録による 労働時間の把握」への対応は万全でしょうか?未対応の事業場においては、HRMOS勤怠byIEYASUの導入が急務となります。
トライアル雇用助成金に限ったことではありませんが、各種助成金活用の際には、前提として必要となる準備や、メリット・デメリットの両方を十分にご確認いいただく必要があります。何かと複雑な助成金申請について、及び助成金申請に向けた労務管理に関わるご相談は、社会保険労務士までお気軽にお寄せください!

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