【学校の働き方改革】公立・私立問わず要対応!「労働安全衛生管理体制の整備」のススメ

学校の働き方改革を議論する上では、「業務の見直しや効率化」、「適切な勤怠管理の徹底」、「人材確保」等のキーワードが挙げられますが、今号では少し視点を変え、「労働安全衛生管理体制」に注目してみましょう。

法令上必要な労働安全衛生管理体制が未整備であれば、法令違反として罰則の対象となります。
今一度、御校における体制を見直されてみてください。

公立学校も労働安全衛生法の適用を受けます!

職場に必要な労働安全衛生管理体制については労働安全衛生法に定められていますが、この法律は労働基準法とは異なり、教育公務員を含む地方公務員を適用除外としていません。
よって、ここで解説する内容は、私立学校、公立学校の別に関係なく、いずれの学校においても徹底して遵守する必要があります。

学校における「労働安全衛生管理体制」とは?

それでは具体的に、どのような労働安全衛生管理体制が整備されているべきなのでしょうか?

キーワードは「選任・設置義務」「面接指導体制」「ストレスチェック」の3つです。

設置・選任義務

①教職員50人以上の学校で選任・設置するべきもの

・衛生管理者:衛生に係る技術的事項を管理する者(衛生管理者免許取得者、「保健体育」の中学・高校教諭、養護教諭等から、原則その学校に専属の者を選任)
・産業医:産業医学の専門家として教職員の健康管理等を行う者(医師のうち、厚生労働大臣が定める研修を修了した者等から選任)
・衛生委員会:衛生に関する重要事項について調査審議する機関(校長、衛生管理者、産業医等で構成)

②教職員10~49人の学校で選任するべきもの
・衛生推進者:衛生に係る業務を担当する者(一定期間衛生の実務に従事した経験を有する者等から選任)

整備が必要な面接指導体制

以下に該当する教職員から申し出を受けた場合、医師による面接指導を遅滞なく行えるような体制を整備する

・週40時間を超える労働時間が月80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる場合
・心理的負担の程度が高く、面接指導を受ける必要があるとストレスチェックを実施した医師等が認めた場合

※上記に該当しない者についても、健康への配慮が必要な者については、面接指導等を行うことが望ましい

ストレスチェックの実施

①教職員50人以上の学校

・医師等による労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を年に1度実施する
・ストレスチェックの結果、高ストレスであり医師による面接指導が必要と判断された労働者から申出があった場合、学校の設置者は医師による面接指導を実施する
・学校の設置者は医師の意見を聴いた上で、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮等適切な就業上の措置を講じる
・学校の設置者は、検査を行った医師等に、ストレスチェック結果を一定規模の集団ごとに集計・分析させ、必要に応じて、適切な措置を講じる。

②教職員50人未満の学校
当分の間努力義務とされているが、学校の規模に関わらず全ての学校において実施されることが望ましい

参考:文部科学省「学校における労働安全衛生管理体制の整備のために(第3版)(平成31年4月)

学校における「労働安全衛生管理体制整備」、状況は?

下記は、平成29年5月1日時点での、公立学校における労働安全衛生管理体制等の整備状況です。

出典:文部科学省「学校における労働安全衛生管理体制の整備のために(第3版)(平成31年4月)

法令に定められるものに関しては比較的高い割合となっていますが、未だ完全とは言えない状況が明らかになっています。
特に、「面接指導体制の整備」については、労働者数を問わず全ての学校に義務付けられているにもかかわらず、小中学校においては数字の低迷が目立ちます。

一方、労働者数50人未満の「ストレスチェックの実施」については当面の間努力義務となっていますが、適切な実施が望まれる状況にもかかわらず、現場においては進まぬ現状が浮き彫りになっています。

公立の小中学校においては、今後、市区町村教育委員会主導の元、状況の改善が目指されることになるでしょう。

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