【教員の働き方改革】変形労働時間制の導入は慎重に【労働基準法改正2019】

働き方改革を背景に、今、教員の働き方の見直しが進められています。とりわけ「労働の長時間化」が問題視される中、文科省では「変形労働時間制」の導入に向けた検討が進められているとの報道があり、今後の動向に注目が集まっています。

「変形労働時間制」の導入は、果たして本当に、教育現場の働き方改革の一助となるのでしょうか?

教員の働き方改革に「一年単位の変形労働時間制」は現実的?

現状、議論されているのは、教育現場における「一年単位の変形労働時間制」の導入についてです。「学期中は労働時間が長時間化しやすいが、夏休み等の長期休暇には比較的休日を確保しやすい」という教員の働き方の特徴を活かし、年単位で労働時間の調整を行っていこうという方向で検討が進められています。

出典:文部科学省「第18回【開催日時:平成30年10月15日(月曜日)13時30分~16時00分】_一年単位の変形労働時間制について(労働基準法第32条の4)

文部科学省は、一年単位の変形労働時間制の導入により、学期内に週3~4時間分の勤務を増やすことで、年間15~20日間の休暇の確保が可能となるとのイメージを公開しています。同資料では、国立大学附属学校においては全56の国立大学法人のうち、50法人(89.3%)で導入実績があることも明らかにしています。

教員への「一年単位の変形労働時間制」導入には課題が山積み

文部科学省が提示した「一年単位の変形労働時間制」の導入好事例に対し、現場からは疑問の声が次々と寄せられているとのことです。

まず、一年単位の変形労働時間制を導入した場合、「1日10時間まで」「1週間につき52時間まで」の労働が認められることになります(ただし、48時間を超える週は3ヵ月で3回まで)。これにより、現場ではいつの間にか「1日10時間」が常態化し、更なる労働の長時間化が促されてしまわないでしょうか?また、保育園のお迎え等で平日の「1日10時間」勤務に耐えられない教員も、一定数いることを忘れてはなりません。育児中等の理由で変形労働時間制の対象から外されていれば良いのですが、現場では労働者が抱える背景に十分目を向けられるのかが懸念されます。

そして、夏休み中に果たして先生は本当に休みを確保できるのかも疑問です。生徒達が長期休暇を迎えても、教員はプールの指導に当たったり、三者面談に対応したり、研修に行かなければならなかったり、中学校であれば部活動の指導を行わなければならなかったりします。私自身、中学生の子どもが運動部に所属し、夏休み中も連日活動する姿を見ており、その合間に面談や他の業務をこなさなければならない先生方はいつ休んでいるのだろうかと思っています。教員の業務に閑散期など、本当にあるのか疑問です。

教員の働き方に「フレックスタイム制」は適しているのか?

IEYASUユーザーの中には、日々の勤務時間に「フレックスタイム制」の導入を検討する学校も増えているようです。フレックスタイム制とは、1日の労働時間の長さを固定的に定めず、1ヵ月以内の一定の期間の総労働時間を定め、労働者自身が総労働時間の範囲で各労働日の労働時間を自分で決める働き方のことです。

出典:東京労働局「フレックスタイム制の適正な導入のために

「フレックスタイム制を上手く活用することで、労働時間の短縮につなげることができる」という意見もあります。しかしながら、下記を考慮すると、教員の勤務形態にフレックスタイム制がなじむのかという懸念もあります。

✓ 授業時間をコアタイムに充てるとすると、コアタイムが長くなり、フレックスタイム制が十分に機能しない可能性が高い
✓ 出勤時間を生徒の登校に合わせるとなれば、8時以前からの勤務は不可避である。その一方で、教員が生徒対応や保護者対応にあたるとなればどうしても放課後の時間が中心となるため、結局のところ労働が長時間化しやすい

「業務改善」なくして、教員の働き方改革なし

一年単位の変形労働時間制にせよ、フレックスタイム制にせよ、ただ現在と異なる労働時間制を導入するだけでは何ら問題解決にならない可能性が高いといえます。

まずは教員の労働時間を長時間化させている要因を洗い出し、積極的な業務改善を進めることで、既存の労働形態の中でどこまで労働時間を短縮させることができるかを検討していくことが先決です。

教員の業務改善を考える上では、下記の資料が参考になります。
安易に労働時間の調整のために変形労働時間制に注目するのではなく、先生が抱える仕事の見直しや現状打開のための環境整備に有効な施策に目を向けていくことが重要です。

出典:文部科学省「中央教育審議会(第119回)_資料2-1 新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申骨子案)

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ABOUTこの記事をかいた人

HM人事労務コンサルティング 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。 労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。