【働き方改革続報】2019年4月義務化の「年次有給休暇年5日取得」対応【ケース別】

すでに打刻ファーストでもご紹介している「年次有給休暇の年5日取得」について、働き方改革関連法の成立により、いよいよ2019年4月より使用者義務となる見込みです。

参考:打刻ファースト『「年5日の有給消化」が事業主の義務に!?中小企業における「時間単位年休」のススメ

今後、現場では対応に追われることとなりますが、このたび、通達「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)」にて、実務上の具体的な取扱いが公開されました。改正法施行まであと半年、今から対応策を検討してまいりましょう。

働き方改革関連法の内容を、通達で具体的に理解

今回公開された通達では、企業が改正労働基準法に対応するための具体的なポイントが解説されています。
この記事でご紹介する「年次有給休暇の年5日取得」以外にも、フレックスタイム制や時間外労働の上限規制、中小事業主における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用猶予の見直し等、注目のテーマについての記述もあります。
比較的読みやすい内容ですので、ご一読いただき、現場対応の検討にお役立てください。

参考:厚生労働省「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)

そもそも「年次有給休暇の年5日取得」とは?

最初に、「年次有給休暇の年5日取得」とはそもそもどんなルールかを、簡単に振り返っておきましょう。

2019年4月より、年次有給休暇の日数が10日以上付与されている労働者について、年次有給休暇の日数のうち「5日」を、使用者は付与日から1年以内に時季指定によって取得させなければならないこととなります。
進まぬ有給休暇取得は中小企業における大きな課題ですから、今後対応に苦慮するケースは少なくないでしょう。年度当初に年次有給休暇取得計画表を作成する等して、使用者が主体となって管理に乗り出す必要がありそうです。

ちなみに、「年次有給休暇の年5日取得」では、労働者が自ら5日以上の年次有給休暇を取得した、もしくは計画的付与により5日以上の年次有給休暇を取得した場合には、使用者義務は果たされたこととなります。

ケース別 「年次有給休暇の年5日取得」義務化への対応策

法定通り、「雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者」に対して年次有給休暇を付与する会社では、比較的混乱なく「年5日取得」の義務化を捉えることができるでしょう。

では、例えば「入社時に有給休暇を付与し、その後1年以内に会社の一斉付与日に新たな有給休暇を付与する」場合には、どのように対応すべきなのでしょうか?

今回の通達では、下記の3つのパターンについて、「年次有給休暇の年5日付与」への実務上の対応を解説しています。

【ケースその1】10日以上の年次有給休暇を法定より前倒しで付与する場合

⇒実際に付与した日から1年以内に5日取得させることとする

例)4月1日入社の場合、本来は10月1日(勤続6ヵ月経過時点)に10日付与となるが、入社時に前倒しで10日付与してしまう場合の取扱い

【ケースその2】入社後6ヵ月経過時点で10日以上の年次有給休暇を付与し、その後1年以内の一斉付与日に新たに10日以上の年次有給休暇を付与する場合

⇒ 履行期間(基準日又は第一基準日を始期として、第二基準日から1年を経過する日を終期とする期間をいう。)の月数を12で除した数に5を乗じた日数について、当該履行期間中に、その時季を定めることにより与える

例)4月1日入社で、法定通り10月1日に10日付与するが、会社が定める一斉付与日(この場合「4月1日」)に新たに10日以上付与される場合の取扱い

この例では10月1日から翌々年3月31日までの間に「7.5日」取得させる

【ケースその3】10日未満の年次有給休暇を前倒しで付与する場合の取扱い

⇒付与日数が10日以上となった日(第一基準日)から1年以内に5日取得させる。ただし、第一基準日以前に年次有給休暇を取得させた場合はその日数分、時季指定によって与えなくとも良い

例)4月1日の入社日に5日付与、その後7月1日に新たに5日付与された場合

この例では、すでに4月1日から6月30日までの間に3日取得したものとすると、使用者は7月1日から向こう1年間に2日取得させれば良いことになる

「年次有給休暇の年5日取得」対応には、「半日単位」の時季指定を有効活用

今回の通達では、半日単位年休を「0.5日」カウントとして、使用者が取得させるべき年5日に含めることが可能な旨が明記されています。
労働者が自ら取得した半日単位年休についてはもちろんのこと、事業主が時季指定にて付与する有給休暇についても半日単位で行うことができます。ただし、後者の場合には、予め労働者側の意見を聴き、半日単位での取得の希望があったことが大前提となりますので、使用者側はしっかりと手順を踏む必要があります。

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