割増賃金の基礎となる賃金を正しく理解!|住宅手当を割増賃金の基礎に含める場合、含めない場合

3月、9月は決算期を迎える会社が多く、それに合わせて人事異動の事例が出され、そのため4/1や10/1を着任日とするかと思います。
住宅手当を支給しているまたは支給を検討しているような会社は、この異動や転勤の時期にあわせて、住宅手当の支給対象になるのか、その住宅手当は割増賃金の基礎に含めるべきなのか等を確認しなければなりません。
すでに住宅手当を支給している会社も、これから支給を検討している会社も今一度、どんな手当が割増賃金の基礎となる賃金になるのか確認してみましょう。

割増賃金の基礎となる賃金から除外できるもの

労働との直接的な関係が薄く、個人的事情に基づいて支給される次の賃金が除外できます。
(労基法第37条第5項、労基法施行規則第21条)

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時に支払われた賃金
  7. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

これらの賃金は限定的に列挙されたものであり、これらに該当しない賃金はすべて割増賃金の基礎に算入しなければなりません。また、このような名称の手当であれば、全て基礎となる賃金から除外できるというわけではありません。

出典:厚生労働省「割増賃金の基礎となる賃金とは?

住宅手当についての具体的な例

■割増賃金の基礎から除外できる
住宅に要する費用に定率を乗じた額を支給するもの
例)賃貸住宅居住者には家賃の一定割合、持ち家居住者にはローン月額の一定割合を支給する、など

■割増賃金の基礎から除外できない
住宅の形態ごとに一律で支給するもの
例)賃貸住宅居住者には2万円、持ち家居住者には1万円を支給する、など

手当は名称にかかわらず実質によって取り扱うこと

家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当等の手当が支払われていた場合であっても、実際にこれらの手当を除外するにあたっては、単に名称によるものでなく、その実質によって取り扱うべきものとされています。(S22.9.13 基発第17号)

属人給とは何か整理して定義を確認しましょう

属人給とは、その人の属性に基づいて出る賃金のことで、年齢や持ち家の有無といった、能力とは無関係に決まる給与のことをいいます。「家族手当」「住宅手当」などが代表ですが、会社によっては一律の住宅手当が支給されていることもあり、そういった場合は個人の事情による賃金と性質が異なります。その手当がどのような定義で誰に向けてのものか確認し、適正な給与計算を行うようにしましょう。

個人的事情に基づく手当は定期的に確認・精査が必要

家族手当は、配偶者は税扶養、子供であるなら税扶養かつ18歳までなど、会社独自の定義が賃金規程等に記されています。本人の申告忘れなどから家族手当が払われていなかった、該当していないので返金してもらわないといけない、という事を給与計算を行う上で耳にしたことがある担当者の方もおられるかと思います。

個人の事情に関わる手当が適正かどうかは定期的に精査しておくといいでしょう。年末調整時に翌年の扶養控除申告書が提出されるので、その時はいい機会です。また、健康保険組合の扶養調査時も税扶養と健保扶養は収入要件が異なりますが、確認の目安にすることはできますのでこちらも活用するとよいでしょう。

困ったら専門家に相談することを検討

労務関係や助成金のことで、困ったことや具体的に聞きたいことがあれば社会保険労務士に相談してみるのも一つの方法です。
もしお困りのことがございましたらこちらをクリックし、どんな小さなことでもお気軽にお問い合わせください。

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社労士法人 人事部サポートSR 社労士:針谷正昭

「外部人事部」をコンセプトに、幅広い人事領域をサポートする社労士法人、人事部サポートSRの針谷です。企業人事での実務経験、社労士として数々の企業様への労務コンサル経験をもとに、人事実務家の目線にたって企業様をサポートします。給与計算や手続きなど実務を通じて把握した労務課題への改善提案、さらに採用支援や人事制度の導入提案も手がけ、企業人事の皆様を幅広く支援します。まずはお気軽にお問い合わせください!