最低賃金は2020年10月以降どう変わる?コロナ禍の賃金引き上げは実現するのか

全国加重平均1,000円の実現に向けて毎年引き上げられていた地域別最低賃金ですが、今般の新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、2020年度はどうなるのでしょうか?今号では、2020年10月以降、適用となる最低賃金の見通しを確認しましょう。

国は「現行水準の維持」を原則としつつも、都道府県ごとの判断に委ねる方針

2020年10月以降に適用となる地域別最低賃金について、7月22日に開催された第57回中央最低賃金審議会では国としての方針が下記の通り示されました。

令和2年度地域別最低賃金額については、新型コロナウイルス感染症拡大による現下の経済・雇用への影響等を踏まえ、引上げ額の目安を示すことは困難であり、現行水準を維持することが適当。
地方最低賃金審議会において、上記見解を十分に参酌しつつ、地域の経済・雇用の実態を見極め、地域間格差の縮小を求める意見も勘案しつつ、適切な審議が行われることを希望。

出典:厚生労働省「令和2年度地域別最低賃金額改定の目安について

最低賃金の改定について、今年度は国から具体的な額が示されることなく、実際の判断については地方最低賃金審議会での審議に委ねられる形となっていました。こうした状況を受け、地方最低賃金審議会においては難しい検討が進められてきましたが、徐々に都道府県労働局宛の答申の内容が固まってきているようです。その方針が、都道府県労働局ホームページ等で公表され始めています。

2020年度地域別最低賃金 コロナ禍も「小幅増」を予定する都道府県が大多数

新型コロナウイルスの影響により、引き上げは困難と予想されていた地域別最低賃金ですが、結論からいえば2020年度も1~3円の増額改定とする都道府県がほとんどの模様。据え置きを決めたのは、東京(1,013円)、静岡(885円)、京都(909円)等、ごく一部にとどまる見込みです。(2020年8月7日時点)

コロナ禍で観光業・飲食業を中心に大打撃を受ける沖縄県は「2円引き上げ」で決着

最終的に、現行の790円から2円引き上げ792円へと最低賃金が改定されることとなる沖縄県では、報道等で見聞きする通り、新型コロナウイルスの影響を受けて観光業や飲食業を中心に大打撃を受けています。沖縄地方最低賃金審議会が設置した沖縄最低賃金専門部会では、当初、労働者側は15円、使用者側は0円の凍結を提示したとのこと。その後、労働者側4円、使用者側1円、最終的には労働者側3円、使用者側2円を提示する等、全6回の開催を経ても折り合いがつかなかったため、最終的に公益委員会を含めた多数決により「2円増」に落ち着きました。

参考:沖縄タイムス「「生活できない」労働者側から困惑の声 沖縄の最低賃金792円へ コロナの影響を反映

都は据え置きの一方、神奈川県は「1円引き上げ」で東京水準目前に

東京都が最低賃金の据え置きを公表する一方、お隣の神奈川県では1,011円から「1円」引き上げの、「1,012円」への増額改定を決めました。神奈川地方最低賃金審議会では、使用者側が最優先事項として「事業の継続と雇用の維持」を強調。一方で、労働者側は「コロナ禍の生活不安、雇用不安」を訴え、7回の審議を経て最終的に「1円」の引き上げとなりました。

参考:カナロコ「県内最低賃金、1012円に 現行から「1円」引き上げ

コロナ禍も、全国的に引き上げ傾向の最低賃金 現場では給与額の確認を

未だ終息の目途の立たない新型コロナウイルス感染症の影響により、企業においては引き続き厳しい状況が続くことになります。現状、「雇用維持だけで精いっぱい」という現場も少なくないと思いますが、2020年10月以降、最低賃金が引き上げられる都道府県では今一度、給与額の確認をする必要があります。基本給はもちろんですが、残業代単価については固定で支払っているケースも含めて、見直しが不可欠です。
厚生労働省では、ホームページにて最低賃金以上かどうかを確認する方法を解説していますので、手順に従ってチェックされておくと良いでしょう。

参考:厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法

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