【学校の働き方改革】「部活動は労働時間」私立高校に対し是正勧告が行われました

学校の働き方改革を阻む要因となる課題のひとつに、「部活動の在り方」があります。
部活動における指導は教員による自発的行為なのか、それとも労働時間に該当するのかといった議論に、このたび、一つの結論が下されました。

今後の学校運営に大きな影響を及ぼす重要な判断となりますので、ぜひご確認ください。

「部活動は労働時間」 労基署が認定

2019年7月、東京都の中央労働基準監督署は都内の私立高校に対し、「残業代不払い」に関わる労働基準法違反で是正勧告を行いました。
バレー部とダンス部の顧問を兼任している教員について、「部活動などで月に50時間前後残業しており、過去2年間で約600万円の残業代の不払いがある」とし、適切な対応を求めています。

参考:私学ユニオン「【京華学園】「部活等への残業代不払い」労基署からの是正勧告がメディアで報道されました!

これまでの部活動時間の取扱いは?

学校関係者の皆様であればすでにご存じの通り、現行の学校指導要領や中央教育審議会の働き方改革答申によると、

・部活動は教育課程外に実施される教育活動の一つである
・学校の業務ではあるが、教員の仕事ではない
・顧問就任は業務命令ではなく、あくまで「依頼」のレベル

とされています。

つまり、部活動に教員が関わることは、業務外の自発的な行為と認識されています。
しかしながら、現状、どの学校でも教員が何らかの部活動を受け持つことが半ば強制となっていることから、

「業務ではない(労働時間として認められない)」
「しかし拒否できない(労働せざるを得ない)」

という矛盾が、教員の働き方改革推進を阻んできました。

文部科学省のガイドラインにより「勤務時間=在校時間」の原則が示される

この点、2019年1月に公開された「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」では、教員の勤務時間に関わる基本的な考え方について、

✓ 教師等が校内に在校している在校時間を対象とすることを基本とする

とした上で、「所定の勤務時間外に校内において自らの判断に基づいて自らの力量を高めるために行う自己研鑽の時間その他業務外の時間については,自己申告に基づき除くものとする」旨が明記されました。

そして、時間外労働の上限については、原則として

① 1か月の在校等時間の総時間から条例等で定められた勤務時間の総時間を減じた時間が,45時間を超えないようにすること。
② 1年間の在校等時間の総時間から条例等で定められた勤務時間の総時間を減じた時間が,360時間を超えないようにすること。

とされています。

本ガイドラインは公立学校に向けられたものですが、このたびの是正勧告事例より、私立学校においても同様の基準が適用されるものと解釈できます。

出典:文部科学省「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン

今後ますます重要となる、学校における勤怠管理

このたびの労基署による是正勧告は、働き方改革推進の流れを受けて作成された文部科学省のガイドラインを基準とした先駆的な判断と言えます。
教育現場に対しては、今後、今回の事例同様の考え方に則り、監督指導が行われる可能性が高いと考えて良いでしょう。

労働時間に関わる判断の基準を「在校時間」に置くようになったことから、一般企業同様、学校においても例外なく、「適切な勤怠管理」が不可欠となりました。

勤怠管理の具体的な方法については、厚生労働省公開の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」において、下記のポイントが示されています。

◎ 使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること

◎ 原則的な勤怠管理方法
・ 使用者が、自ら現認することにより確認すること
・ タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること

出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

勤怠管理方法として、全ての教員について「使用者による現認」を行うことは現実的とは言えませんから、「客観的な記録を基礎とした確認」に目を向ける必要があるでしょう。
また、学校外業務の際の勤怠管理にも対応するためには、場所を問わず勤怠登録が行える環境(=クラウドによる勤怠管理)を準備する必要があります。

働き方改革を追い風に、教職員の中にも、自身の働き方を見直す方が増えています。
これまで「勤怠管理ができていなかった!」という学校では、早めの対応を心がけるのが得策です。

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