2022年4月以降の取り組みから変更あり!キャリアアップ助成金正社員化コース|変更点まとめ

3月を目前に控え、少しずつではありますが、各所で春の気配が感じられるようになってきましたね!春といえば、今年も新年度予算に基づき、雇用関係助成金の最新情報が少しずつ明らかになってきました。現段階ではまだ確定ではありませんが、2022年4月以降、「キャリアアップ助成金」の各コースに変更が生じる予定です(2022年2月25日時点)。今号では、企業において特に活用が進む「正社員化コース」の変更点を確認しましょう。

キャリアアップ助成金正社員コース 2022年4月以降変更予定ポイント

キャリアアップ助成金正社員化コースでは、「助成要件の一部廃止」「正社員及び非正規雇用労働者の定義の変更」が予定されています。

助成要件の一部廃止

現行制度では、助成対象となる転換には「有期→正規」「有期→無期」「無期→正規」の3パターンがありますが、2022年4月1日以降の取り組みでは、「有期→無期」の転換に係る助成が廃止されます。この結果、助成金の支給対象となるのは「正社員への転換のみ」となります

正社員及び非正規雇用労働者の定義の変更

また、「正社員」「非正規雇用労働者」の定義が変更され、2022年10月1日以降の正社員転換より適用される予定です。キャリアアップ助成金正社員化コースの支給対象となるためには、以下の定義を満たす労働者である必要があります

○ 正社員:同一の事業所内の正社員に適用される就業規則が適用されている労働者であり「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」があること
※現行制度では「同一の事業所内の正社員に適用される就業規則が適用されている労働者であること」のみ
○ 非正規雇用労働者:賃金の額または計算方法が「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」の適用を6ヵ月以上受けて雇用している有期または無期雇用労働者
※現行制度では「6ヵ月以上雇用している有期または無期雇用労働者」の定義のみ

これらの労働者の定義の変更により、正社員と非正規雇用労働者の線引きをより明確なものにする必要が生じることになります。

助成金活用を主軸として、法令遵守、社内体制整備を目指しましょう

このたび示されたキャリアアップ助成金正社員化コースに関わる2つの変更予定点を受けて、本助成金の活用を検討する企業においては、今後より一層、働き方改革や社内体制整備に留意する必要があります。

「有期→無期」の転換への対応は適切に

まずは「有期→無期」の転換が対象外となったことで、無期転換ルールについて見直しが必要となる企業が出てきます。キャリアアップ助成金の対象となる有期雇用労働者については、現状「雇用期間通算3年以内の者」とされているため、これまでは法定の無期転換ルールの対象となる前に意向を確認し、助成金申請に合う形で要件満たす労働者の無期雇用を進める現場もあったかと思います。ただし、来春の助成要件変更を受けて、既定の転換制度を活用できる労働者であっても、助成金対象外となる方が出てくるケースが想定されます。このような場合、現場においては適切な対応が求められます。まず、既存の転換制度の対象者変更は、不利益変更に該当するため注意が必要です。また、有期雇用期間が通算5年超となる労働者から申し出があった場合、法定の無期転換ルールには当たり前に対応しなければなりません。

参考:
広島県商工労働局「わーくわくネットひろしま_就業規則の不利益変更を会社が一方的にできるか|労働相談Q&A
厚生労働省「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト

「同一労働・同一賃金」に留意する

例えば、助成金の対象となる正社員には「賞与または退職金の制度」と「昇給制度」の適用対象とする必要があります。これを受けて、これまでアバウトだった賃金体系を整備し、規定しなければなりません

今般では賞与や退職金を支給しない会社は珍しくありませんが、「これを機に、正社員を対象に新たに制度を作れば良い」のかといえば、そう単純な話ではありません。2020年4月より、働き方改革の一環として適用された「同一労働同一賃金」により、正社員と非正社員の間の不条理な待遇差の解消が目指されています。よって、正社員の処遇改善に目を向けるのみでは、非正規労働者との待遇格差はますます拡大するばかりとなり、問題が生じます。

キャリアアップ助成金は複数コース活用が○

前述の同一労働・同一賃金への対応については、同じく2022年4月から変更される「キャリアアップ助成金賞与・退職金制度導入コース」を活用することで、非正規雇用労働者に対する処遇改善が可能となります。現状、本コースでは、正社員と非正社員とで諸手当(賞与・退職金・家族手当・住宅手当)を共通化することが必須となっていますが、今後は非正規雇用労働者に対する賞与または退職金制度の新設のみで助成対象となります。正社員との共通化までは求められません。

キャリアアップ助成金のご相談は、社会保険労務士までお気軽にお寄せください

キャリアアップ助成金では、2022年4月以降、今号で解説した正社員化コース以外にも変更が生じる予定です。最新情報を確認しながら、適切な助成金活用に目を向けてまいりましょう。何かと複雑な雇用関係助成金の準備・申請のご相談は、専門家である社会保険労務士が承ります。

参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金が変わります~令和4年4月1日以降変更点の概要~

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