【新型コロナウイルス】テレワークに適した労働時間制度とは?|4つのパターンを具体的に解説

私たちの生活や仕事に多大な影響を及ぼしている新型コロナウイルスですが、完全終息にはまだまだ時間がかかるものの、緊急事態宣言が全国的に解除され、少しずつ落ち着きを取り戻しつつあります。

新型コロナウイルス対応で多くの企業がテレワークを導入しましたが、「新しい生活様式」を実現するためや、この機会にワークライフバランスを充実させるため、テレワークを今後も社内制度として継続することを意思決定する企業が増えています。

緊急対応としてのテレワークであれば、労働時間の管理も暫定的なもので良かったかもしれません。

しかし、テレワークを恒久的な社内制度として定着させていくためには、自社の考え方にあった労働時間制度をしっかりと検討し、導入しなければなりません。

そこで、本稿では、テレワークに適した労働時間制について解説をさせて頂きたいと思います。

この点、実際のところ「テレワークであればこの方法がベスト」という、テレワークに適した唯一無二の労働時間制度が存在するわけではありません。どのような職種で、あるいは、経営者がどのような考え方をもってテレワークを導入するのかによって、正解は変わってくるということです。

4つのパターンに分けて、具体的に説明をしていきます。

1.通常通りの労働時間制

第1のパターンは、テレワークだからといって特別なことを考えるのではなく、出社していた時と同様、始業時刻と終業時刻を決めて、1日8時間、1週40時間以内の所定労働時間で勤務をする方法です。

たとえば、コールセンターやチャットでのカスタマーサポートを行うような職種が考えられます。このような職種の場合は、職務を行う場所がオフィスから自宅に変わるのみで、仕事内容自体が大きく変わることはありません。顧客に対するサポート時間内は、顧客から問合せがあったらすぐに対応できるよう、電話やパソコンの場所でスタンバイしていなければならないのは、テレワークであっても同様です。

ですから、上記の例ように、決まった時間に決まった仕事をしなければならない職種の場合は、テレワークにおいても、通常通りの労働時間制をとるのが定石です。所定労働時間を超過した場合には、もちろん時間外手当も支払われなければなりません。

なお、通常の出社時には紙のタイムカードで打刻をしていたような職場においては、テレワークで紙のタイムカードを打刻するのは物理的に不可能ですから、スマートフォンやデスクトップのアプリで打刻ができるクラウド勤怠システムを導入するなど、労働時間制度は同じであっても、労働時間管理の手法は進化をさせることが必要です。

2.事業場外のみなし労働時間制

第2のパターンは、事業場外のみなし労働時間制を利用する方法です。

事業場外のみなし労働時間制は、従来は直行直帰の出張時などに使われてきた労働時間制度です。出張中は、移動や休憩なども含め、職場にいるときのように厳密な労働時間管理が難しいため、「実労働時間がどうであったかに関わらず、1日8時間勤務したとみなす」というように、一定の時間数勤務したこととみなすのが、事業場外のみなし労働時間制です。

テレワークの場合にも、一定の要件を満たせば、事業場外のみなし労働時間制を利用することができます。

その要件とは、厚生労働省の指針によると、ポイントは2つで、「常時通信可能な状態に置かれていないこと」と「使用者から具体的な指示を受けていないこと」です。

「常時通信可能な状態に置かれていないこと」というのは、単にインターネット回線がつながっていること自体は問題ありません。使用者からチャットやメールで呼びかけがあっても即時に応じる義務が無いということです。

「使用者から具体的な指示を受けていないこと」とは、業務の大枠についての指示を受けることは構いませんが、「今日の15時までに〇〇を終わらせて下さい」というように、細分化された業務を時間単位で指示されてはいないということを意味します。

これらの要件を踏まえますと、裁量権を与えられた幹部社員や、企画・研究・開発などの職務に従事する従業員は、事業場外のみなし労働時間制を適用しやすいと言えるでしょう。

3.裁量労働制

第3のパターンは、裁量労働制です。

通常出勤時に、もともと専門業務型裁量労働制や企画業務型裁量労働制が適用されていた従業員は、職務内容が変わらなければ、テレワークになっても引き続き裁量労働制で勤務することが可能です。

逆に、「弊社では、テレワーク制度を導入するので、この機会に新たに裁量労働制を適用したい」という相談を筆者もしばしば受けるけることがありますが、テレワークと裁量労働制には何の相関関係はありませんので、勘違いをしないようにご注意ください。

裁量労働制は、通常出勤であれテレワークであれ、システムエンジニアやデザイナーなど、法令で定められた職種にしか適用することができないのです。

4.フレックスタイム制

第4のパターンは、フレックスタイム制です。

事業場外のみなし労働時間制や裁量労働制を適用できる職種や職務内容ではないが、かといって、テレワーク時に使用者がガチガチの労働時間管理までは望んでいないという場合の落としどころとして、フレックスタイム制は有用です。

フレックスタイム制では、始業時刻・終業時刻の管理自体は行われるものの、始業時刻や終業時刻を何時にするかということや、日々何時間働くのかということは、労使協定に定められた範囲で、従業員に裁量権が認められます。

従業員には、1か月または3か月単位で、所定労働時間の総枠が与えられ、その枠内で各自が調整をしながらテレワークを行う形になります。総枠を超える場合には、上長に相談のうえ、必要に応じて時間外労働を行うことになります。

このように、フレックスタイム制は、1か月や3か月の総枠はありますが、日々の労働時間は本人が調整できますので、子どもの世話をしながらのテレワークなど、ワークライフバランスも実現がしやすいと言えるでしょう。

また、フレックスタイム制は、上述の事業場外のみなし労働時間制や裁量労働制のように、適用できる要件的な制限もありませんので、職種を問わず幅広く利用できる点でも使い勝手が良いでしょう。

まとめ_テレワークにおける労働時間制度と勤怠管理

今回ご説明をさせていただきましたよう、テレワークにおける労働時間制には、職種や職務内容に応じ、いくつかの選択肢があります。法違反が生じないように気を付けながら、自社に合ったテレワークの労働時間制を定めるようにしてください。職種や職務内容によって、複数の労働時間制度を使い分けることも問題ありません。

そして、テレワークであっても、労働時間の管理自体はしっかり行っていかなければならないことを再認識していただき、必要に応じてクラウド勤怠システムの導入など、テレワークに適した勤怠管理の環境構築もしっかりと行っていきたいものです。

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