年の途中で扶養異動があった場合の手続きはどうする?|年末調整の前に今一度確認を!

「子どもが就職したので扶養から外す手続きをしたい」と従業員から相談されたとき、どのような手続きをしなければいけないか、すぐに思い浮かびますでしょうか?

扶養異動手続きについては、人事総務担当者の方であれば、ご存じの方ばかりかと思いますが、社会保険のほかにも、扶養の人数は所得税計算にも関わってくることになります。

そろそろ年末調整も気になる時期になってきましたので、今一度、社会保険上の扶養と所得税法上の扶養の手続きについて整理してみましょう。

社会保険の扶養と所得税の扶養は、関連性がありません

社会保険の扶養とは被保険者の扶養親族が自身の社会保険料を負担することなく保険の給付を受けられる制度で、対象となる家族の範囲は、配偶者と3親等内の親族です。所得税の扶養とは、扶養親族の数に応じて所得控除を受けることができる制度で、配偶者が対象になる配偶者控除と配偶者特別控除、配偶者以外の親族が対象になる扶養控除があります。制度上の関連性はなく手続きは別々に行う必要があります。

社会保険上の扶養異動を行っても即座に所得税法上の扶養異動を行う必要はございませんが、就職や婚姻により扶養から外れることが分かっている場合は必要な手続きを済ませておくことが肝要です。

扶養手続きはきちんと実施しておくのが肝要

所得税法上の扶養手続きは本人の申告により行われ、扶養控除申告書に被扶養者を記載して提出することが必要となります。最終的に年末調整時には12/31時点の扶養状況を確認するため、その時に扶養異動を行えば、所得税の計算上の問題は発生しません。

しかし、就職により扶養から外れる(年収が103万円を超える)ことが分かっていて年末まで扶養に入れたままにしていた場合、それまでの給与で徴収している所得税額は本来よりも低い額のため、結果として年末調整時に多額の追徴税額が発生することとなってしまいます。そのほか給与システム内の扶養フラグを外し忘れて年末調整を行ってしまった場合、後に税務署からの是正勧告を受ける可能性があり、上記同様追加徴収のおそれがあります。

よって社会保険の扶養異動を行った行った場合は、所得税法上の扶養異動の有無も併せて確認することをお勧めします。後々面倒なことにならないためにも確認しましょう。

扶養親族の所得確認を年末調整前に今一度行いましょう

アルバイトをしている子どもを所得税の扶養にしている場合、収入要件は103万円未満ですが、実際それを超える収入を得ている可能性があります。これは、子どものアルバイト先に税務調査が入って反面調査が行われ収入超過が発覚するケースが多いです。

税務署より、扶養是正調査「扶養控除等の見直し」が入ると過去3年分の所得を確認することとなります。
会社での年末調整結果に問題なかった場合、本人の申告が誤っていることがほぼ確定しますので、本人へ説明し過去3年分の所得証明を提出してもらい確認することとなります。通知がきておおよそ3週間くらいで回答しなければならないので、早めに対応する必要があります。

そして申告が誤っていた年度に関しては再年調を行い所得税を徴収し納税しなければなりません。所得によっては被扶養者が1名減での所得税差額は高額になります。再年調・徴収の場合、家族手当がある会社では返金が必要になるケースがほとんどですので、精算額について説明する必要があります。

扶養異動は本人の申告があれば即時に修正するといいでしょう。また年末調整時に改めて被扶養者の収入確認をアナウンスをしてみてはいかがでしょうか。

困ったら専門家に相談することを検討

労務関係や助成金のことで、困ったことや具体的に聞きたいことがあれば社会保険労務士に相談してみるのも一つの方法です。
もしお困りのことがございましたらこちらをクリックし、どんな小さなことでもお気軽にお問い合わせください。

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