【学校の働き方改革】ご存知ですか?「過労死ライン」 小・中学校教諭の3割超が到達している現実

「教員の長時間労働」は今や社会問題と化していますが、それを裏付けるように、「日本の教員は世界一長時間労働である」との調査結果が経済協力開発機構(OECD)より公開されました。
労働時間の長時間化は生命を脅かす危険な現象であり、日本では働き過ぎを防ぐため、「過労死ライン」といわれる時間外労働時間数の基準が示されています。

御校では、過労死ラインを超えて働く教職員の有無を正しく把握しているでしょうか?

参照:日本経済新聞「教員の仕事時間、小中とも最長 OECD調査

「過労死ライン」を正しく理解しよう

「過労死ライン」とは、働き過ぎによって発生した脳・心臓疾患を労災認定する際の基準のことです。
「過労死ライン」という言葉自体を耳にしたことがあっても、実際にどのような基準が設けられているのか、いまいちご存じない方も多いのではないでしょうか?

まずは一般の教職員の皆さんも管理監督者としての立場の方々も、「過労死ライン」を正しく把握することが、働き方改革の第一歩となります。

過労死の定義

過労死ラインを基準とする過労死の定義は、業務による明らかな過重負荷が加わることによって血管病変等がその自然経過を超えて著しく増悪し、脳・心臓疾患が発症した結果、死に至ることとされます。

対象は、脳・心臓疾患として認められる下記の疾病です。

[脳血管疾患] 脳内出血(脳出血)、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症
[虚血性心疾患等]心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む。)解離性大動脈瘤

過労死認定の要件

上記の脳・心臓疾患による対象疾病が、次の①、②又は③の業務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症した場合、業務起因性が認められます。

① 発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇したこと
② 発症に近接した時期において、特に過重な業務に就労したこと
③ 発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと

出典:厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定

過労死ライン

上記表の内、「長期間の過重業務」にある「労働時間」の項目に記載された時間数が、一般的に「過労死ライン」として認識される時間外労働の目安となります。

✓ 発症前1か月間におおむね100時間
✓ 発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える

小・中学校教諭の労働時間の現状と、過労死ラインの関係性

実態として、教育現場でどの程度の時間外労働が行われているかは、文部科学省が2018年に公表した「教員勤務実態調査(平成28年度)の分析結果」に垣間見られます。

出典:文部科学省「教員勤務実態調査(平成28年度)の分析結果及び確定値の公表について(概要)

上記は、小中学校教諭(主幹教諭・指導教諭を含む)の1週間当たりの学内総勤務時間をまとめたものです。

週の所定労働時間が40時間(8時間×5日)とすると、1週間に20時間以上の残業で月80時間の時間外労働に達すことになります。
上記の表でいうと、1週間の労働時間が60時間を超える場合に週20時間以上の残業が生じますから、赤囲みの層で過労死ラインを超過する可能性が高いと言えます。

割合としては、小学校、中学校共に全体の30%を超えており、改めて学校の先生の長時間労働の現状が浮き彫りとなっています。

「過労死ライン」から先生を守るために、適正な労働時間把握を

学校の働き方改革においては、「教職員の労働の長時間化を是正すること」が主目標として掲げられています。
そのために学内業務の適正化や業務分担の見直し等のあらゆる施策が検討されていますが、様々な取り組み以前に「適正な勤怠管理の実現」が大前提となることを忘れてはいけません。
正しく勤怠を把握できてこそ、改革の必要性を理解でき、また、各種施策の効果を検証することも可能になるのです。

「長時間労働の改善」という大きなテーマへの挑戦の第一歩は、「正しい勤怠管理」なくして踏み出せません。

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