【学校の働き方改革】「カスハラ」とは?教職員を守るために、今後現場で検討すべき悪質クレーム対応

2019年5月29日に成立した、職場におけるハラスメント防止対策の義務化。
その法案には、「カスタマーハラスメント」への対策を求める方針であることが明記されています。

教育業界においてしばしば問題となる「カスハラ」に対応するために、学校はどのように取り組んでいく必要があるのでしょうか?

ご存知ですか?学校に蔓延する「カスハラ」問題

皆さんは、「カスハラ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

カスハラとは、顧客による限度を超えた悪質かつ執拗なクレーム、迷惑行為等によって、労働者に大きなストレスを与えるハラスメントを指します。
ハラスメントを行うのが「顧客」であることから、サービス業、接客業での出来事を連想しがちですが、実は教育業界においても早急に対処すべき課題といわれています。

学校における「顧客」といえば主に児童・生徒やその保護者がですが、「利用者」であることの優位性を利用して、学校に対して理不尽な要求を突き付けてくる例は後を絶ちません。教育現場では、カスハラこそが学級崩壊やモンスターペアレンツ問題等に直結しており、このことは社会的にも問題となっています。

パワハラ対策と併せ、「カスハラ対応措置」は義務化へ

御校では、現状、いわゆるカスハラに対応するためにどのような措置を講じているでしょうか?
「各教員に任せている」「その都度対応を検討するのみで、マニュアル等はない」といった学校も少なくないでしょう。

しかしながら、冒頭でご紹介した通り、このたび法制化に至った一般企業におけるハラスメント防止対策義務化では、パワハラやセクハラだけでなく、カスハラについても現場での対策を講じるべき旨が明記されています。ハラスメント防止対策の義務化は、教育現場においても例外なく取り組んでいかなければなりません。

カスハラ対策として学校ではどのような対応をしていくべきか、この点については、パワハラ防止策と併せて政府が指針を示す予定となっています。

現段階で政府公開の資料から読み取ることのできる対応は、概ね下記の通りです。

✓ どこまでが相当な範囲の要望で、どこからがそれを超えた嫌がらせなのかといった基準を示すこと
✓ 悪質クレームは「職場におけるパワハラに値するもの」と認定して対処すること
✓ カスハラ被害に遭った際に利用できる相談窓口を設置すること
✓ カスハラ被害に遭った本人の希望に応じて配置転換ができるようにすること

参考:厚生労働省「女性の職業生活における活躍の推進及び職場のハラスメント防止対策等の在り方について(報告書案)

「学校のカスハラ対策」は組織で検討すべき課題

現状、学校としてカスハラ対策に取り組めていないというケースにおいては、早急な改善が求められます。

そもそも、カスハラはどうして起こるのでしょうか?
もちろん、当初から児童・生徒、保護者に問題がある場合はありますが、その他にも些細なことに端を発して相手方がモンスターと化していくケースがあることも忘れてはなりません。

教職員の職務には属人的対応が多く、個人で抱え込みやすい性質があり、とりわけ児童・生徒や保護者への対応は特定の教職員(学級担任等)に委ねられがちです。先生自身としても「自分のクラスのことは自分で」とつい自分だけで頑張ってしまう部分があるかと思いますが、一人の教諭の言動が児童・生徒や保護者の否定的な感情を換気してしまい、そのことで相手方の言動がカスハラ化していく可能性もあります。
事態を悪化させないためにも、児童・生徒、保護者への対応は、初期の段階から、組織的に対応していく工夫が必要なのです。

教育現場におけるカスハラは、教職員の心身を蝕む深刻な問題となります。働き方改革の一環として学校が主体となってカスハラ対策に取り組むことで、日々現場で奮闘する先生達がいきいきと働ける職場作りを目指していきましょう。

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