企業において進む、仕事と子育ての両立支援強化事例(株式会社イオンファンタジー)

加速の一途を辿る少子化に歯止めをかけるべく、各企業における取り組みが着実に進んでいます。今号では、イオン店舗内のアミューズメント施設等を運営する株式会社イオンファンタジーの事例をご紹介します。

株式会社イオンファンタジー:従業員の両立支援策として打ち出された4つの制度新設・改定

株式会社イオンファンタジーでは、同社に勤務する従業員の家庭と仕事の両立支援を目的として、2023年6月21日付で福利厚生制度を大幅に拡充しました。このたびの制度拡充では、1つの新制度創設の他、3つの既存制度の対象拡大が実施されました。

新設「ハグくみ支援金」

全従業員を対象として、育児休業取得時に最長3ヶ月分、取得前の給与の13%相当の支援金を支給する制度です。支援金が支給されることにより、育児休業給付金と組み合わせると給与の実質80%補償となります。かねてより、政府は育児休業給付金の支給率引き上げ方針を示していますが、依然として具体的な実施時期は明らかになっていません。この点では、国の方針をいち早く実現する施策と考えることができます。
ちなみに、「会社からお金が支払われると、育児休業給付金が減額になってしまうのでは?」と思われるかもしれませんが、給与の13%相当額の支給であれば減額はされません。

参考:厚生労働省「育児休業期間中に就業した場合の育児休業給付金の支給について

時短勤務制度の適用範囲拡大

勤務時間を10%~30%短縮できる時短勤務制度の適用範囲が、「全従業員」に拡大されます。同社の時短勤務制度は目的を問わず利用できるため、働く誰もが、ライフスタイルの変化に応じた働き方に目を向けられるようになります。

無給休暇「ライフサポート休暇」の適用範囲拡大

全従業員を対象とした無給休暇を「ライフサポート休暇」と改称し、取得条件に「不妊治療」「更年期障害」「通院・治療」「家族の体調不良」が追加されました。「家族」には内縁や同性のパートナーも含まれ、多様な家族の形にも柔軟に対応します。「LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)支援」に積極的に取り組むイオンならではと言えます。

出産祝金の支給対象者拡大

子どもが誕生した際に受け取れる出産祝金の給付について、社員だけでなく、パートタイム社員にも支給される制度へと変更されました。慶弔金については、同一労働同一賃金の観点から、対象を一律に社員のみとする取り扱いは不合理と考えられています。この点で、必要な制度改定であるとも言えるでしょう。正規・非正規間の格差が是正されることで、各人がその時々でライフスタイルに応じた働き方を選択し、働き続けることができるようになります。

中小企業でも、無理なく取り組める両立支援策に目を向けましょう

今号でご紹介したのは大手企業における事例ですが、中小企業においても、自社で対応できる範囲の両立支援に目を向けるべきであることは言うまでもありません。大手のように手厚い制度創設が難しくとも、法定の産前産後休業制度や育児休業制度を正しく理解して活用できるようにする、同一労働同一賃金に適切に対応すべく社内制度を整えるといった取り組みは確実に行っておきたいところです。御社の対応状況は万全でしょうか?
また、2023年6月に示された「こども未来戦略方針」に基づく法改正によって、今後、企業側で対応すべきことが生じるでしょう。これに先立ち、まずは政府の方針を正しく読み込んでおくことで、法改正対応時にも慌てずに取り組みに着手できるはずです。無理なく取り組める両立支援から、始めてまいりましょう!

関連記事:『異次元の少子化対策が盛り込まれた「こども未来戦略方針」案が公開!企業は育児期の労働者をどう支援すべき?

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