2023年度地域別最低賃金大幅引き上げを目前に、「業務改善助成金」が拡充されました

2023年度地域別最低賃金改定については、すでに速報記事でお伝えしている通りですが、その後全国すべての地方最低賃金審議会における答申結果が出揃いました。これにより、引上げ額は都道府県ごとに39~47円、改定後の全国加重平均額は前年+43円となる「1,004円」へと上昇する見込みとなっています。これに伴い、事業場内最低賃金の引き上げに活用可能な「業務改善助成金」が拡充され、一層使いやすくなっています。

関連記事:『速報!2023年度地域別最低賃金|全国加重平均はいよいよ1000円台を達成

2023年度地域別最低賃金改定のポイント

冒頭の通り、地方最低賃金審議会における答申では、実に24県で、中央最低賃金審議会が示した目安額を上回る結果となりました。2023年10月以降、順次適用となる地域別最低賃金の概要を理解しておきましょう。

■ 47都道府県で、39円~47円の引上げ
(引上げ額が47円は2県、46円は2県、45円は4県、44円は5県、43円は2県、42円は4県、41円は10都府県、40円は17道府県、39円は1県)
■ 改定額の全国加重平均額は1,004円(昨年度961円)
■ 全国加重平均額43円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額
■ 最高額(1,113円)に対する最低額(893円)の比率は、80.2%
(昨年度は79.6%。なお、この比率は9年連続の改善)

各都道府県の地域別最低賃金答申状況は以下よりご確認いただけます。

参考:厚生労働省「令和5年度地域別最低賃金額答申状況

地域別最低賃金大幅引上げを目前に、賃金引き上げに有効な業務改善助成金が拡充

地域別最低賃金が39円~47円の大幅引上げとなる10月を前に、目下、従業員の賃金の見直しを進めている現場も多いのではないでしょうか。企業における賃金引き上げの支援策として推奨されるのが「業務改善助成金」の活用ですが、2023年8月31日より制度内容が拡充されています

業務改善助成金とは?

業務改善助成金は、生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資等にかかった費用の一部を助成する、中小企業・小規模事業者向けの助成制度です。

社労士宛のご相談として特に多く寄せられる「助成対象となる設備投資等」については、具体的に以下の取り組みが挙げられます。

〇 機械設備導入
• POSレジシステム導入による在庫管理の短縮
• リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
〇 コンサルティング
• 専門家による業務フロー見直しによる顧客回転率の向上
〇 人材育成・教育訓練
〇 店舗改装(業務時間の短縮につながるもの)

その他、業務改善助成金の助成額や申請の流れについては以下よりご確認いただけます。

参考:厚生労働省「業務改善助成金

2023年8月31日以降、拡充されたポイントをチェック

業務改善助成金の概要をご確認いただいたところで、2023年度の制度改正についてポイントをおさえてまいりましょう。

◎ 対象となる事業場について、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内から50円以内に拡大
◎ 事業場規模50人未満の事業者について、賃金引上げ後の申請を可能とする
(賃金引き上げ計画の提出は不要)
◎ 事業場内最低賃金額に応じて設けた助成率の区分を30円引き上げる

特に事業場規模50人未満の現場については、事前の計画書提出が不要となり、賃金引上げ後の申請も可能となるということで、使い勝手が良くなっています。2023年度の申請期限は2024年1月31日となっておりますので、制度拡充を機に業務改善助成金の活用を検討されたい場合にはお早目に社会保険労務士までご相談ください。

地域別最低賃金引上げ対応であれば、新たな最低賃金「発効日前日まで」の賃金引上げを

なお、2023年10月から順次発効される地域別最低賃金の改定額に対応して事業場内最低賃金を引き上げる場合、発効日の前日までに賃金引上げを行うことが必要となります。発効日当日付で引き上げを行ったとしても、助成対象外となりますのでくれぐれもご注意ください。

参考:厚生労働省「業務改善助成金拡充リーフレット

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