従業員の健康へ投資をする健康経営とは?

ここ5~6年、健康経営という言葉をよく聞くのではないでしょうか?「健康にかけるお金をなんてない」ではなく、「健康に投資をする」という経営戦略の一種です。少子高齢化や定年年齢延長等で従業員の高齢化は避けられません。そこで、健康経営についてそのメリットや取り組み等について具体的に解説します。

健康経営とは

経済産業省は、健康経営について「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」としています。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力の向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。健康経営は、日本再考戦略、未来投資戦略に位置付けられた「国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みの一つです

健康経営を推進する経済産業省では、「健康経営銘柄」の選定と「健康経営優良法人認定制度」を創設しています。優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的に評価を受けることができる環境を整備しているのです。

健康経営への関心の高まりの背景

健康経営に関心が高まっている背景は、少子高齢化です。少子高齢化により労働人口が減少し、従業員が高齢化することで、病気や労働災害のリスクが高まっていきます。人手不足のために従業員の定年年齢を延長したい状況にあるのに、従業員の健康悪化が生産性を低下するかもしれないという懸念からなかなか高齢者の雇用に踏み切れない企業が多いという現状があります。さらに高齢者が多くなることで国の医療費が増加していきます。健康経営を導入することで、医療費の削減が期待でき、働き方改革の一環にもなっています。

健康経営導入のメリット

健康経営導入のメリットとして、従業員の健康確保がありますが、企業にとっても大きなメリットがあります。

  1. 生産性の向上
    従業員が心身ともに健康で働くことによって、生産性を向上させることができます。会社が従業員の健康をサポートすることで、ストレス等による心身の不調を軽減できれば、病気やケガなどの発生を防ぐことができます。その結果、欠勤や休職等を減らす効果があります。
  2. 従業員の離職率が下がる
    健康経営を導入することで、長時間労働の是正やストレス軽減対策など、働きやすい職場環境が形成され、従業員の職場満足度があがり、離職率を下げる効果があります。
  3. 企業のイメージアップ
    健康経営を導入し、その取り組みを発信することで、「従業員を大切にしている会社」というイメージがつきます。その結果、優秀な人材を確保しやすくなったり、従業員やその家族からの信頼も増していきます。
  4. 医療費の削減
    従業員の健康に気を遣うことで、従業員の医療機関等への受診が減少し、医療費の削減につながります。企業にとってコストとなっている従業員の社会保険料については、今後少子高齢化の影響で健康保険料がアップしていくことは避けられません。そのため、健康経営による医療費の削減は、国民にとっても大きなメリットとなるのです。
  5. 労働災害の予防
    労働災害(労災)とは、従業員が仕事中や通勤途上でケガをしたり病気になったりすることです。労働災害は、加齢による体力の低下等により50歳以上の労働者が対象者の約半数を占めています。そこで、健康経営を導入することで体力や筋力の低下を予防し、その結果労災の発生を予防することができると考えます。

下記は経済産業省が実施した効果に関する調査結果です。

健康経営導入の注意点

会社にとってメリットの大きい健康経営ですが、注意してほしい点があります。

一つ目は、健康経営導入時の効果がわかりにくいということです。健康増進は長期的に計画を立てることが重要で、短期的視点で効果がないと思うと失敗してしまします。

二つ目は、従業員が健康についての課題等を負担に感じることです。仕事とは別に健康に関する課題を行うことにストレスを感じる人が出てくるかもしれません。それでは、結果的にストレスを増加させてしまいます。そこで、健康経営について会社や従業員に対するメリットを具体的に説明し、全従業員の同意を得ることが肝要です。誰でも自分の健康には、不安を持っていますので、その不安を会社が払拭してくれるのであれば納得できるかと思います。

健康経営として具体的な取り組み

健康経営を導入するにあたり、具体的に何をやればよいのかわからないという会社もあるでしょう。まずは、簡単なことから始めればよいかと思います。

  • 健康に対する意識を高めるための研修
  • 有給休暇取得率向上
  • ストレッチなどの運動に関する講座
  • 運動器具の設置
  • 社内食堂のメニューの工夫
  • 健康診断やストレスチェックの結果から自分自身で健康の課題を見つける
  • 午後3時からの15分の運動 等

まとめ_健康経営、これを機に考えてみませんか?

健康経営には、会社にとっても、従業員にとっても多くのメリットがあります。ただし、その効果は従業員各人の実行力と長期的視点で考えなければいけないということで、実はなかなか難しいものがあります。重要なことは、従業員が負担を感じないで自分自身の健康のために続けられるかどうかです。経営陣からの指示ではなく、従業員の目線でいろいろ考え修正して、楽しく続けられるようになれば健康経営はうまくいくでしょう。国が後押しをしている健康経営―これを機に考えてみませんか?

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