【働き方改革】2018年度賃金不払残業の実態と是正に向けた各社の取組事例

厚生労働省が毎年公表する「監督指導による賃金不払残業の是正結果」の2018年度版が、2019年8月8日に公開されました。
働き方改革の推進に向けた意識が高まる中、勤怠管理や割増賃金支払の状況はどのように変化しているのでしょうか?

2017年度版のデータとの比較から考察します。

働き方改革を背景に、各社で賃金不払残業の解消に向けた動きが進む

厚生労働省では、全国の労働基準監督署が賃金不払残業に関して行った監督指導のうち、是正により労働者に支払われた不払賃金総額が1企業で合計100万円以上となった事例の取りまとめを公開しています。

2017年度(2017年4月~2018年3月)の是正結果については、すでに打刻ファーストでご紹介しておりますので、まずはご確認ください。

参考:打刻ファースト「【働き方改革と賃金未払い】労基署主導による賃金不払残業への監督指導進む。御社は大丈夫?

2018年度は対象労働者数、是正支払額共に大幅減

2018年度(2018年4月~2019年3月)の監督指導状況は下記の通りです。
2017年度データとの比較でみるとよく分かる通り、全体としてかなり状況が改善されていることが明らかになっています。

以下の概要からは、適正な賃金支払への各社の意識の高まりを見てとることができます。

□ 是正企業数
1,768企業(前年度比 102企業の減)
※1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、228企業(前年度比 34企業の減)

□ 対象労働者数
11万8,837人(同 89,398人の減)

□ 支払われた割増賃金合計額
125億6,381万円(同 320億7,814万円の減)

□ 支払われた割増賃金の平均額
1企業当たり711万円、労働者1人当たり11万円
(昨年度は1企業当たり2387万円、労働者1人当たり22万円)

出典:厚生労働省「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成30年度)_【別紙1】100万円以上の割増賃金の遡及支払状況(平成30年度分)

賃金不払残業解消のカギは「勤怠管理システムの導入」にあり

「監督指導による賃金不払残業の是正結果」では、是正結果のデータと併せて、監督指導の対象となった企業が賃金不払残業の解消のために行った取組事例も紹介されています。
資料では4事例が紹介されていますが、いずれのケースでも共通して「労働時間の適正把握」に努めることで状況を改善していることが分かります。

以下は「金融業」での実例です。
固定残業代の誤った運用、自己申告による勤怠把握等、業種を問わずあらゆる現場で散見する要素がまさに問題となっていました。
この事例における解消策としては、「労働時間に応じた割増賃金の支払い」を実現すべく、厚生労働省のガイドラインに準拠した「ICカードの客観的な記録による管理」の導入によって状況を是正しています。

出典:厚生労働省「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成30年度)_【別紙3】賃金不払残業の解消のための取組事例

「時間外労働の上限規制」は中小企業でもいよいよ2020年4月より適用に

2019年4月に施行された働き方改革関連法の中でも、とりわけ注目を集める「時間外労働の上限規制」

今後さらに厳格化される時間外労働に関わるルールに対応するためにも、現状生じている未払い分をいち早く清算した上で、時間外労働の上限規制適用に合わせ、

・各労働者に関わる現在の残業時間数の状況を把握する
・法に定められた残業時間の上限を超えないように業務分担の見直しや業務効率化を図る
・検討した業務分担や業務改善策を試行しながら、労働者各人の勤怠の状況を確認し、効果を検証する

といった作業を進められるのが理想的です。

時間外労働の上限規制に対応するための一連の取り組みには、政府のガイドラインに合った勤怠管理の徹底が不可欠となります。働き方改革対応のクラウド勤怠管理システムIEYASUを活用することで、労働時間把握に関わる現状の課題をすべて解決していきましょう!

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