【改正育児・介護休業法】義務化後もおよそ3割の企業が未実施の「マタハラ防止対策」 事業主は何をすべき?

御社では、何らかのマタハラ防止対策を講じているでしょうか?

2017年1月1日施行の改正育児・介護休業法で、妊娠・出産・育児休業などに関するハラスメントの防止対策を講じることが事業主の義務とされました。
現状、「取り組めていない」という会社では、早急に対応を検討しましょう。

義務化されたマタハラ防止対策 小規模企業を中心に未実施割合高く

男女の雇用均等問題に関わる雇用管理の実態把握のために厚生労働省が毎年実施する「雇用均等基本調査」の2018年度版確報が、2019年7月末に公表されました。
本調査結果より明らかになったのは、「義務化以降も、およそ3割の企業でマタハラ防止対策が未実施である」との現状。
とりわけ、従業員数100名未満規模の企業においては未実施割合が高く、10~29人規模では37.2%に上ります。

出典:厚生労働省「平成30年度雇用均等基本調査(確報)_結果の概要

繰り返しになりますが、企業におけるマタハラ防止対策は、従業員規模に関わらず、使用者の義務として講じなければなりません。現状未実施の企業においても、政府のガイドラインを参考に、なるべく早い段階で必要な対応を検討しましょう。

ご存知ですか?マタハラの定義

具体的なマタハラ防止対策の検討に先立ち、まずは職場におけるどのような行為がマタハラとされるのかを正しく理解しておく必要があります。
マタハラの定義について、ガイドラインには下記の通り明記されています。

✓ 「職場」において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業等を申出・取得した「男女労働者」の就業環境が害されること

✓ 妊娠等の状態や育児休業制度等の利用等と、嫌がらせ等となる行為の間に因果関係があるものがハラスメントに該当

✓ なお、業務分担や安全配慮等の観点から、客観的にみて、業務上の必要性※に基づく言動によるものはハラスメントには該当しない

※「業務上の必要性」とは?

〇 業務の調整の必要から、ある程度調整が可能な休業等(例えば、定期的な妊婦健診の日時)について、その時期をずらすことが可能か労働者の意向を確認するといった行為

〇 同僚が自分の休暇との調整をする目的で育児休業の期間を尋ね、変更を相談すること(変更を強要することはハラスメントに該当)

〇 上司・同僚が「妊婦には負担が大きいだろうから、もう少し楽な業務にかわってはどうか」と配慮すること

× 業務上支障が生じる場合でも、妊娠中に医師等から休業指示が出た場合のように、労働者の体調を考慮してすぐに対応しなければならない休業についてまで、「業務が回らないから」といった理由で上司が休業を妨げる場合はハラスメントに該当

× 労働者の意をくまない一方的な通告はハラスメントに該当

参考:厚生労働省「職場におけるセクシュアルハラスメント対策や妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策は事業主の義務です!!

上記の定義を前提として、ガイドラインではマタハラに該当する具体的な行為や言葉の事例が紹介されています。
まずは事業主や人事労務担当者が一読し、必要に応じて社内研修を実施する等して従業員への周知徹底を図ってまいりましょう。

「男性労働者」へのマタハラに注意

マタハラというと、女性労働者に対する行為をイメージする方も多いかと思います。
しかしながら、育児休業等の育児関連制度の利用を申出・取得した男性労働者に対する言動もまた、マタハラとして認識されます。
男性労働者への対応にも十分に配慮しましょう。

× 育児休業の取得について上司に相談したところ、「男のくせに育児休業をとるなんてあり得ない」と言われ、取得をあきらめざるを得ない状況になっている

× 上司・同僚が「所定外労働の制限をしている人はたいした仕事はさせられない」と繰り返し又は継続的に言い、専ら雑務のみさせられる状況となっており、就業するうえで看過できない程度の支障が生じている

マタハラ防止対策として事業主が取り組むべきこととは?

事業主が講ずべきマタハラ防止対策について、政府の指針で示されるポイントは下記の通りです。

出典:厚生労働省「職場におけるセクシュアルハラスメント対策や妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策は事業主の義務です!!

上記のポイントを土台として、各企業では実情を踏まえた有効な対策を検討していく必要があります。
自社での対応が難しい場合には、労務管理の専門家である社会保険労務士の活用がお勧めです。

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