法的権限に基づく「社会保険未適用事業所への立入調査」が可能に。適正な社会保険加入を!

社会保険適用事業所に該当する事業所であっても、現状、何らかの理由で適用手続きができていない会社もあるかもしれません。現場が社会保険関連の諸手続きに不慣れな場合、つい手続きを先延ばしにしがちですが、今後、早期に着手されることをお勧めします。2020年6月5日公布の年金制度改正法により、社会保険未適用事業所への適用促進がより一層強化されます。

社会保険未適用事業所を、日本年金機構の調査・立入検査対象に

政府は、年金制度の強化を目的に国民年金法等の一部を改正し、2020年6月5日に公布しました。改正法の概要は下記の通りで、柱となる被用者保険の適用拡大についてはすでに打刻ファーストでも解説している通りです。

関連記事:『【社会保険】2022年10月から進む「短時間労働者への適用拡大」|企業規模要件は段階的に「従業員数51人以上まで引き下げ」

こちらの概要には記載がありませんが、今回の法改正では「厚生年金保険法における日本年金機構の調査権限の整備」として、下記の内容が盛り込まれました。
2020年6月5日の公布日からはすでに20日以上が経過し、施行されている内容です。今後は、法的な強制力を以て、社会保険未適用事業所への立入検査が進められることになります。

出典:厚生労働省「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要(令和2年法律第40号、令和2年6月5日公布)

社会保険の適用事業所、被保険者要件とは

社会保険を適正に加入するためには、適用を受けるべき事業所要件、被保険者要件を正しく理解しておく必要があります。

適用事業所の要件

以下のいずれかに該当する事業所は、社会保険適用事業所となります。

  • 法人事業所(業種、従業員数に関わらず全て)
  • 個人事業所(常時従業員が5人以上の場合。ただし非適用業種あり)
    ※非適用業種・・・第一次産業(農林水産業等)、接客娯楽業(旅館、飲食店等)、宗教業(寺院、神社等)、サービス業(飲食店・理美容店)
    *弁護士・税理士・社会保険労務士等の法律・会計事務を取り扱う士業についても、現状、非適用業種ですが、2020年10月より適用業種に追加されます

被保険者要件

大原則:①または②に該当する事業所に勤務しており、常時使用される者

  • 週5日、1日8時間のフルタイム勤務の正社員(常時雇用者)
  • パート、アルバイトでも、週の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上の者
  • 法人の代表者や役員、適用事業所の個人事業主
  • 試用期間中の者(長期雇用を前提とし、常時雇用者もしくは要件を満たすパート・アルバイトに該当する場合)

上記のうち、いずれかの被保険者要件に該当する場合、国籍、年齢、身分、報酬額等を問わず加入対象となります。

ただし、パート・アルバイトで、週の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3未満の者であっても、以下に該当する場合には被保険者となります。

  1. 週の所定労働時間が20時間以上
  2. 勤務期間が1年以上見込まれること
  3. 月額賃金8.8万円以上
  4. 学生以外
  5. 従業員501人以上の企業に勤務していること

※「② 勤務期間が1年以上見込まれること」については、2022年10月より「2か月超の勤務期間が見込まれること」に変更となります
※「⑤ 従業員501人以上の企業に勤務していること」については、2022年10月より「従業員100人超規模」、2024年10月より「従業員50人超規模」の企業まで適用となります

現状、社会保険適用となるべき未適用事業所や、社会保険に加入させるべき労働者を抱える事業所においては、早期に適正な保険適用・加入の手続きを進めましょう!また、今は適用対象ではなくても、法改正により今後適用対象となる事業所、被保険者については注意が必要です。

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HM人事労務コンサルティング 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。 労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。