ダイバーシティは経営戦略~多様な人材の活用の仕方

ダイバーシティは、これからの企業における重要な経営戦略の一つです。今や会社の一番重要な資源は人材です。そしてこの人材の採用が少子高齢化が進むにつれて難しくなってきているのです。この人材にフォーカスした経営戦略が今求められているのは、自明の理ではないでしょうか?そこで、ダイバーシティについて解説いたします。

ダイバーシティとは

ダイバーシティは、「多様性」と訳され、現代では、「個人や集団における様々な違い」を意味しています。ダイバーシティ経営とは、個性の違いを受け入れて偏見にとらわれず、幅広い人材を採用・活用している状態をいいます

ダイバーシティが注目される背景

ダイバーシティが経営戦略において、注目される背景は、下記のようになります。

(1)少子高齢化
少子化により労働力人口は、年々減少しています。そのため女性や高齢者、障碍者、外国人などなかなか就業が難しい方たちの採用を考えることが必要だと言われています。
(2)価値観の多様化
共働き世帯の増加によって、家事・育児等は共同で行うことという考えが一般化しています。
ワーク・ライフ・バランスが注目されていることもその一つです。また、やりたい仕事を求めて転職をする人も多く、雇用形態にもこだわらない人も増えています。
(3)グローバル化
ビジネスにおけるグローバル化が進んで、そのためには外国人の活用が必須となっています。
(4)消費の多様化
今までの画一的なモノの消費から個人個人に合わせたモノ作りが必要となっています。消費の多様化に合わせて、多様な人材を採用して対応しなければモノを作っても売れなくなってしまいます。

ダイバーシティ推進のメリット

ダイバーシティを経営戦略の一つとして推進することで企業と従業員にとって多くのメリットがあります。

(1)働きやすい職場環境の形成
多様な人材を活用するために、今までの職場風土を変える必要があります。子育てや介護をしながら働ける、病気で通院しながら働ける、高齢になっても働けるなど誰でも個々の事情に応じて働くことが可能となり、お互い様の職場環境が形成されます。
(2)採用力の強化と離職防止
ダイバーシティを推進することで、働きやすい職場環境となります。そのため、優秀な人材を採用することができ、また働きにくいからと離職する従業員もいなくなるでしょう。
(3)新しいアイディアが生まれる
価値観や考え方などの違う様々な従業員がいるため、新しいアイディアの創出に役立ちます。画一的な従業員では考えられない個性的なアイディアです。

ダイバーシティ推進のポイント

(1)ワーク・ライフ・バランスの充実
育児休業・介護休業等を法定以上に充実させたり、企業独自の制度を作ったりして、使いやすい仕組みとすることが重要です。そうすることで、自社の働きやすい職場環境をアピールすることにもつながっていきます。
(2)リモートワークを認める
在宅で仕事ができればと考えている労働者は数多くいます。育児や介護をしながらでも仕事ができる環境、また、通勤に時間がかかる労働者にとっては、身体的負担が軽減され仕事に力を発揮することが可能となります。仕事内容によっては、難しいケースもあるかもしれませんが、考えてみることをお勧めします。
(3)管理職に対する研修
ダイバーシティの考え方は、1回聞いただけでわかるものではありません。まずは、管理職に対してその意義やメリット、課題等について、十分勉強をさせる必要があります。知識を付け、それを職場の部下と共有することで一体となって進めることができるのです。
(4)相談しやすい相談窓口の設置
ダイバーシティを進めることにより様々な問題がでてきます。現在の画一を求める職場では「個性を殺してまで働きたくない」「障がいを持っているのでできないことをわかってほしい」等職場の理解不足から退職する人が続出する可能性があります。そこで、それを防止するためのクッションとしての機能である相談窓口が必要なのです。働きにくい理由を訊き、それを解消するために動くのが相談担当者の役割です。実はこの担当者がダイバーシティにおける大きなキーワードであり、「ダイバーシティを職場に定着させる重要人物」であることは、間違いないでしょう。そのために相談窓口の設置と担当者の人選が重要です。

ダイバーシティと健康経営

ダイバーシティを進めるにあたって、同時に健康経営を進めるべきだと考えます。今までは従業員に対して「健康は、自分で管理」という企業態度でよかったかもしれませんが、ダイバーシティを考えるには、「従業員の健康は、会社の責任」という自覚も大切です。介護や育児で疲れている人、高齢者や障がい者等様々な人材に対して、一律に自分の健康に責任を持たせるのではなく、企業として全従業員が健康で働ける職場を作るために様々な配慮をする必要があるのです。若い従業員と高齢の従業員が同じスピードで仕事ができるわけではなく、高齢者にスピードを求めればケガをするかもしれません。また、上司が積極的に声をかけて、「疲れているのでは?」と感じたら「仕事は私に任せて少し休みなさい。」と配慮することが重要です。

ダイバーシティは経営戦略

ダイバーシティは、企業が発展していくために、そして重要な資源である人材の定着、採用、活用について非常に効果的な戦略です。また、働きやすい職場環境の形成にもつながっていきます。しかし、制度や仕組みを作ってもそれを実践するのは、管理職だということを忘れないで欲しいと思います。つまり、職場の管理職がダイバーシティを成功させるか否かのカギを握っているのです。そのためには、まず管理職にダイバーシティやマネジメントの研修を行い、実践します。そして、それを部下とのコミュニケーションを通じて全社員に意識させ、実践させることが重要です。これらのことは、短時間ではできませんので、長期の計画を立てて、少しずつ実践をしていきましょう。

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