定年後再雇用をしっかり整備。高齢者が生き生きと働ける社会へ

あなたは、60歳を過ぎた後でも働き続けたいですか?従来はほとんどの企業が60歳定年制を採用していましたが、政府が高齢者雇用安定法を改正したこともあり、60歳を過ぎても働ける環境が整ってきています。今回は、そんな高齢者雇用、定年後雇用の概要についてを解説します。

年金が先細りする中、延び続ける平均寿命

日本人の平均寿命は2016年の調査では男性が80.98歳、女性が87.14歳となり、近年は過去最高を更新し続けています。それに伴い医療や介護を必要としない健康寿命も、ある調査によると男性が72.14歳、女性が74.79歳で、こちらも平均寿命と同様に延び続けています。一方、老後の生活の支えとなる年金は先細りの傾向が顕著で、現役世代の老後の大きな不安材料となっています。支給開始時期も昭和61年以前は60歳でしたが、現在は原則65歳からとなり、政府は現在、本人の選択によって70歳以降に支給開始を遅らせる制度を検討しています。

60歳以降も働ける環境の整備が進む

こうした状況の中、政府は急速な高齢化の進行に対応しようとしています。働く意欲のある人が長く働き続けられる環境づくりを目的とし、平成25年に高齢者雇用安定法を一部改正しました。主な内容は事業主に対し、「定年の廃止」、「定年を65歳まで引き上げる」、定年に達した人を引き続き雇用する「65歳までの継続雇用制度の導入」のいずれかの措置を講じるよう求めています。制度開始後は年々普及が進み、ほとんどの企業がいずれかの措置を講じるようになりました。65歳まで働けるようになることで、定年退職の時期と年金の受給開始時期のギャップが埋まり、老後の生活設計が立てやすくなるだろうと見込まれているのです。

継続雇用の形態は、再雇用制度もしくは勤務延長制度

定年後再雇用の継続雇用制度には、再雇用制度勤務延長制度があります。
再雇用制度とは、定年退職を迎えた労働者がいったん退職の手続きを行い、新たに雇用する制度です。再雇用後の身分は会社の規定に準じて正社員、もしくは嘱託社員、パート社員などになります。ただ、再雇用制度を採用した企業の多くは定年到達時よりも低い賃金で再雇用しているといった実態も見受けられます。
一方、勤務延長制度は定年退職を迎えた労働者を退職させることなく、そのまま雇用し続ける制度です。こちらの場合、勤務延長制度を導入した企業の70%が定年到達時と同程度の賃金を支払っているとの調査結果が報告されています。

企業としても、高齢者雇用のメリットは実は大きい

高齢者の雇用確保措置の現状は、何らかの措置を講じている企業が98%とほぼ100%に近い状態となっています。内訳は継続雇用制度の導入が約80%、定年の引き上げが15%、定年の廃止が3%です。そして希望者全員が65歳以上まで働けるという企業は全体の7割にも上ります。現在、多くの企業が人材不足の課題を抱えており、ベテランの技術やノウハウを生かせる高齢者雇用は企業にとって大きなメリットとなっているのです。

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