オミクロン株急拡大中!今一度見直したい、新型コロナ関連の欠勤に伴う「傷病手当金」適用ルール

年明け以降、新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。従来型と比較すると高い感染力が特徴となるオミクロン株の感染急拡大下にあっては、もはや誰がいつ、どこで感染してもおかしくない状況です。企業においては、今一度、新型コロナに伴う欠勤について正しい対処法を確認されておくことをお勧めします。今号では、傷病手当金の取扱いについてまとめます。

新型コロナウイルス感染症関連に伴う傷病手当金の取扱い

傷病手当金は、私傷病により就労できなくなった際の生活保障として支給される手当金のこと。健康保険に加入している労働者が、業務外の事由による病気やケガの療養のために、連続する3日間を含み4日以上仕事に就くことができず、その間に給与支払いを受けることができなかった場合に申請できます。

参考:協会けんぽ「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)

コロナ関連の傷病手当金、支給対象となるケース・ならないケースまとめ

コロナ禍で申請が増加傾向にある傷病手当金について、現場においては「どのようなケースで申請が可能なのか」と頭を悩ませることが少なくありません。このたび、協会けんぽ神奈川支部より、新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の取扱いを分かりやすくまとめた資料が公開されましたので、ご紹介します

コロナ関連の傷病手当金 支給対象となる要件

  1. 自覚症状があり、労務が困難な場合
  2. 自覚症状はないが、医療機関を受診しPCR検査を受けた結果、『陽性』となった場合
    ※自覚症状とは、「風邪症状」「37.5℃以上の発熱」「倦怠感」「呼吸困難」等を指します。

  • 自覚症状があり、PCR検査の結果「陽性」が判明した場合には傷病手当金の支給対象となります。
  • 自覚症状があっても、PCR検査の結果「陰性」だった場合、陰性が判明するまでの間のみ支給対象とし、陰性判明日以降は支給対象外となります。
  • やむを得ない理由により医療機関への受診を行わず、医師の意見書を添付できない場合、支給申請書にその旨を記載するとともに、事業主からの当該期間、被保険者が療養のため労務に服さなかった旨を証明する書類を添付すること等によって申請できます。この場合、労務不能に該当するかどうか、傷病手当金の支給対象とするか否かの判断は、個別の事例について保険者によってなされます。


出典:協会けんぽ神奈川支部「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金について

一方、自覚症状がない場合、原則としてPCR検査が「陽性」だった場合のみ、傷病手当金の支給対象となります。また、濃厚接触者となった場合でも、被保険者自身が労務不能と認められない限り、傷病手当金は支給されません。

関連記事:
新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金支給|対象の適否をケーススタディ
コロナ禍で申請者増!健康保険傷病手当金支給申請書の書き方をマスターしよう

会社都合で労働者を休ませる場合、「休業手当」の支払いが必要

自覚症状があってもPCR検査の結果「陰性」となった場合、もしくは自覚症状があっても受診せず検査をしなかった場合で傷病手当金の支給対象とされなかったケースでも、会社が社内規程に則って風邪症状等のある労働者を休ませる場合には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するため、労基法上の休業手当の支払いが必要となります

ただし、労働者自身が自主的に休む場合は休業手当の支払い対象とせず、通常の欠勤扱い、病気休暇や有給休暇の取得によって処理します。

関連記事:『【新型コロナウイルス】企業における従業員の休業対応まとめ

なお、オミクロン株感染拡大の背景で増加傾向にある濃厚接触者については、保健所等からの要請により出勤しない場合、原則として休業手当の支払対象としなくても良いこととされています(もちろん、濃厚接触者に対して休業手当を支払うこともできます)。自覚症状がなく、就労不可と認められない以上は、傷病手当金の支給対象ともなりません

しかしながら、濃厚接触者としての隔離期間中、就労できずに収入が途絶えることは労働者にとって大きな不安要素となり得ます。そこで会社は、労働者自身が就労可能な状態である限り、仕事を休ませるのではなくテレワーク等で就労してもらうことにより、通常通り賃金を支払えるよう調整するのが望ましいでしょう。

いつどこで、誰が新型コロナの影響を受けてもおかしくない現状においては、万が一の時、会社が労働者に安心を提供できるよう体制を整えておけるのが理想的です。

LINEで送る

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事