12月も中旬にさしかかり、そろそろ年末の足音が聞こえてくる頃となりました。年末年始には、大掃除や機械設備の保守点検・再稼働といった通常とは異なる作業が多くなる他、物流等の増加に伴う交通・荷役作業時の災害、積雪や凍結による転倒等、労災事故の発生率は高まる傾向にあります。各現場においては、今一度、労災防止に向けた意識を高める共に、社内の安全衛生管理体制の見直しを進めましょう。
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東京労働局では「年末・年始Safe Work推進強調期間」を実施中
年末年始を迎えるにあたり、東京労働局では毎年12月、1月を「年末・年始Safe Work推進強調期間」に設定し、都内各事業場の安全気運向上に向けた取り組みの一層の推進を図っています。期間中は、労基署や労働局により、各事業場への集中パトロール・集中指導の他、各関係団体や各事業者による労災防止措置実施要請等が行われます。
参考:東京労働局「年末・年始 Safe Work 推進強調期間を実施します。(12月1日~1月31日)」
労災事故は、どんな職場でも起こり得ます
ところで、皆さんの中には、「労災」といってもあまりピンとこないという方もいらっしゃるでしょう。政府が公開する労災発生状況をみても建設業や製造業での発生が中心となっていることから、「労災事故が多発する業種というのは、比較的限定的だ」と感じられるかもしれません。
ところが労災は、墜落や転倒、挟まれ、巻き込みといった明らかな事故だけではなく、長時間労働に起因する死傷病や職場でのウイルス感染等、幅広く対象となります。いわゆるデスクワークを中心とする業種でも、労災が発生する可能性があるのです。「ウチでは労災は起こらない」という思い込みを捨て、労災事故防止に努める姿勢が肝心です。
今一度確認したい、御社の安全衛生管理体制
このたびの「年末・年始 Safe Work 推進強調期間」を機に、今一度、御社の労災防止に向けた取り組みを見直されてみることをお勧めします。以下は、いずれの会社においても確認されておくべきチェック項目の一例です。
✓ 業種によって頻発する労災事故の傾向があるならばその防止策を検討し徹底する
例えば、建設業における墜落・転倒事故防止や、製造業における挟まれ・巻き込み、
保健衛生業における感染症対策等
✓ 定期健康診断の実施や適正な勤怠管理を実施する
✓ 安全管理者や衛生管理者、安全衛生推進者、作業主任者、産業医など、法定の安全衛生管理体制において
選任すべき者を選任する
✓ 従業員に対し、雇入れ時の安全衛生教育を実施する
上記はいずれも基本的な取り組みばかりですが、意外と適当になってしまっている事例を散見します。従業員の健康と安全を守るためにも、会社として対応すべきことにはしっかり取り組んでまいりましょう。労務管理の専門家である社会保険労務士にご相談いただければ、御社に必要な取り組みを明らかにし、安全衛生管理体制の整備をご一緒に進めてまいります。
すべての業種で、安全衛生管理体制の整備に努めましょう!
今号でご紹介した「年末・年始 Safe Work 推進強調期間」では、主に建設現場に対する集中パトロールの実施強化が掲げられています。建設現場においては、今一度、「決意表明」「高所対策」「管理活性化」「教育強化」といった安全衛生管理活動の「4K」の徹底に努めましょう。
一方で、建設業以外の業種でも、労災事故防止に注意しなければなりません。とりわけ小売業では、2020年時点で死傷災害(休業4日以上の労働災害)の発生件数が15,257件まで増加し、建設業における死傷病災害発生件数を上回ったという事例がありました。死亡事故とまではいかなくとも、転倒や動作の反動・無理な動作による被害が後を絶たないことに鑑み、積極的に対策を講じる必要があります。
労災事故防止のための取り組みの第一歩は、安全衛生管理体制の整備です。会社が必要な取り組みを行うことが、労災事故防止につながります。現状、整っていない部分には、早急に対応してまいりましょう。併せて、従業員の長時間労働防止、健康確保措置には、「適正な勤怠管理の実施」が不可欠です。法に則した勤怠管理への取り組みに、HRMOS勤怠をご活用ください!