介護中の方は必見【改正】育児・介護休業法_3つのポイント

 平成29年10月1日に育児・介護休業法が改正されました。小さなお子さんを抱えた方やこれからそうなる方、さらにはご家族の介護をされている方は必ず知っておきたい重要な改正です。ぜひポイントを抑えておきましょう。
 今回は、改正された3つのポイントについてわかりやすく解説します。

育児介護休業法とは?

 育児及び家族の介護を行う労働者の、職業生活と家庭生活との両立が図られるよう支援する法律です。その福祉を増進するとともに、我が国の経済及び社会の発展に資すことを目的とされています。
 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律は、育児休業及び介護休業に関する制度並びに子の看護休暇及び介護休暇に関する制度を設けるとともに、育児及び家族の介護を行いやすくするため所定労働時間等に関し事業主が講ずべき措置を定めるほか、育児又は家族の介護を行う労働者等に対する支援措置を講ずること等により、このような労働者が退職せずに済むようにし、その雇用の継続を図るとともに、育児又は家族の介護のために退職した労働者の再就職の促進を図ることとしています。
 つまり、育児や介護をしながら働く労働者が休業を取得しやすい環境や、仕事との両立を支援する職場の環境作りが推進されているのです。

改正ポイント①育児休業を子が最長2歳に達するまで取得可能に

 これまで育児休業は保育園等に入れないなどの理由がある場合に、子が1歳6ヶ月になるまで延長可能でしたが、1歳6ヶ月以降も同様の理由がある場合には、会社に申し出ることで育児休業期間を最長2歳まで延長できるようになりました。
 また、雇用保険の育児休業給付金の給付期間も2歳まで申請することが可能となりました。育児休業取得者にとっては、比較的保育園へ入りやすい4月まで、給付金を受給しながら育児休業を取得できるなど、メリットの多い改正といえます。

対象者は?

今回の法改正による1歳6か月から2歳までの育児休業の対象となるのは、平成28年3月31日以降に生まれた子を養育する労働者です。

延長のタイミングはいつ?

この2歳までの休業は、1歳6か月到達時点で更に休業が必要な場合に限って初めて申出が可能となります。1歳時点で可能な育児休業期間は、あくまでも子が1歳6か月に達する日までとなります。

給付金についての注意事項

 1歳から1歳6カ月までの間に育児休業給付金の延長申請をしていない人は、2歳までの給付金の再延長申請はできませんので注意が必要です。
 また、2歳まで育児休業延長をする場合、保育園への入園不承諾通知書を1歳6か月時点で再度取得する必要があります。現在育児休業中の方、もしくはこれから育児休業取得される方には、制度変更と併せて延長の際の必要書類を再度お知らせしておくと良いでしょう。
(尚、1歳時点で取得した入園不承諾通知書に有効期限の記載があり、1歳6ヶ月時点まで証明ができるものであれば、1歳時点の入園不承諾通知書が再延長の申請に使用できる可能性があります。但し、追加で市区町村の証明や本人の署名が必要となる可能性もありますので、1歳6か月時点で入園不承諾通知書が取得できなかった場合は管轄のハローワークへお問い合わせください。)
 

休業延長と職場復帰について

 育児休業取得者にはメリットが多いと思われる一方で、労働者のキャリア形成を考えれば、長期間の休業が必ずしも本人が望んでいるものとは限りません。育児休業取得の要件を満たす限り、職場復帰のタイミングは労働者の選択に委ねられますが、事業主が労働者の事情やキャリアを考慮して早期の職場復帰を促すことも想定されています。その場合は、育児休業等に関するハラスメントには該当しないとされています。

改正ポイント②育児休業制度等の個別周知の努力義務が新たに創設

 労働者やその配偶者が妊娠・出産したこと等を事業者が知った場合に、当該労働者に対して個別に育児休業等に関する制度(育児休業中・休業後の待遇や労働条件など)を知らせることが努力義務となりました。

具体的にはどういうこと?

・育児休業及び介護休業中の待遇に関する事項
(育児休業及び介護休業期間についての賃金その他の経済的給付、教育訓練の実施等を含む)
・育児休業及び介護休業後の賃金、配置その他の労働条件に関する事項
(昇進、昇格及び年次有給休暇等に関すること等を含む)
・あらかじめ定め、周知するよう努力することが求められるその他の事項
 ① 子を養育しないこととなったことにより育児休業期間が終了した場合及び対象家族を介護しないこととなったことにより介護休業期間が終了した場合の労務の提供の開始時期
 ② 労働者が介護休業期間について負担すべき社会保険料を事業主に支払う方法

周知のための説明資料が必須

 労働者に対して具体的な取扱を明示する場合には、文書を交付することとされています。口頭での説明と併せて、本人が理解しやすいよう文書で資料を用意しておくことが望ましいでしょう。

改正ポイント③育児目的休暇制度を設ける努力義務の創設

 小学校就学に達するまでの子を養育する労働者が育児に関する目的で利用できる休暇制度を設けることが、事業主に課せられる努力義務となりました。
 これまでは、子どもが病気やケガをした場合に「子の看護休暇」を取得することはできましたが、その他の育児目的の休暇は、特に男性にはまだ取得しづらい環境だったため、今回の改正は特に男性の育児参加の促進を図るものとされています。
 あくまでも現在は努力義務のため、どのような制度とするかは会社次第です。しかし、いわゆる”失効年次有給休暇の積立による休暇制度”の一環として、「育児に関する目的で利用できる休暇」を措置するなど、各企業の実情に応じた整備が望まれます。

具体的にはどんな制度?

・配偶者出産休暇
・入園式、卒園式など子の行事参加のための休暇など

まとめ - 仕事と家庭の両立!それによる社会の発展を

 こちらの法律はそもそも、保育園などに入所できないことなどが原因で、本人の意志に限らず退職を余儀なくされるなどといった悲しい事態を防ぐためのものです。雇用主と労働者ともに理解を深め、会社制度の整備を進めていきましょう。
 誰しもが心地よく働き仕事と家庭の調和をとりながら、さらなる経済発展とより良い社会の実現を目指せる環境が少しずつ作られています。

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