美容室経営者必見!残業代トラブルを回避する方法

美容室は一般的に営業時間が長く、営業時間外にも技術向上のための練習や研修を行うため労働時間が他業種に比べても多くなってしまいます。

労働基準法では、労働時間は原則1日8時間、1週40時間まで(美容室や飲食店などの特例措置対象事業場は1週44時間)と定められています。この法定労働時間を超えて労働をさせた場合は時間外労働となり、通常の時給×1.25倍の残業代を支払う必要があります。

もちろんしっかりと残業代を払っていれば問題ありませんが、「残業代」とインターネットで検索すると、残業代請求の方法や事例が数多く出てくる程その情報は浸透しており、働いている時には何も言わなかったスタッフが退職後に労働基準監督署に申告して請求されるパターンが年々増えています。

残業代の時効は2年と定められており、まとめて請求されると経営が続けられなくなってしまうケースもあります。では、どのようにしてこのリスクに対処すればよいのでしょうか。

残業代が発生する例

・所定の就業時間を超えて労働している場合

・1日8時間を超えて労働している場合

・1週間で40時間を超えて労働している場合

・午後10時から午前5時までの深夜時間帯に労働している場合

・休日に労働している場合

練習時間は労働時間?

前述したように美容室のスタッフは営業時間後に残って技術向上のための練習を行う事がよくあります。この時間は美容室(経営者)のために行っているのか、自己研鑽として行っているのかによって労働時間に換算されるかが分かれます。

具体的に言うと、労働時間とは「労働者が経営者の指揮命令の下に置かれている時間」と定義されており、下記のような場合は労働時間として換算する必要があります。

練習時間が労働時間としてみなされる可能性が高い例

・業務の一環として練習を指示している

・練習スケジュールを美容室が管理している

・営業終了後に給料アップのためのテスト等を行っている

一方スタッフの自己研鑽の場であれば当然労働時間には換算されませんので、その分の給料を支払う必要はなくなります。美容師は技術職であるためスキルアップは必要不可欠です。将来の自分の為の投資として練習を行うのは自然の流れではないでしょうか。

しかしながらそれを曖昧にしておくと「働いているのに残業代が出ない」といった勘違いからトラブルが発生してしまいます。スタッフとの間で「練習時間は自己研鑽として行っている」「サロン側は施設を貸している」といった承諾書を交わしておくことで、無用なトラブルを回避する事が出来ます。

残業代を先払い

練習時間を除いたとしても、法定労働時間(1日8時間、1週40時間まで。美容室や飲食店などの特例措置対象事業場は1週44時間)を超えてしまう場合には固定残業代を活用し、あらかじめ残業代を支払うという方法もあります。

固定残業代とは毎月決まった金額を見込みの残業手当として、実際の残業の有無にかかわらず支給する制度のことです。もちろん現在の給料に追加で固定残業代を足しても良いのですが、賃金総額を変えたくないという方は基本給を最低賃金に設定し、残りを固定残業代へ充てるといった方法も可能です。

東京都で基本給20万円のスタッフを例に挙げると

基本給20万円→基本給162,168円(東京都最低賃金932円×法定労働時間174時間)

残業代37,832円(200,000円-162,168円)

固定残業時間37,832円÷1時間当たりの残業代932円×1.25→32時間

とすることで毎月32時間までは残業代を既に支払っている事になります。つまりこれを超えなければ残業代は支払う必要がありません。

最低賃金は都道府県によって異なり、毎年度見直しも行われます。また、所定労働時間についても特例措置対象事業場では変わってきますので実際に固定残業代を導入する際には社会保険労務士に相談する事をおすすめします。

出勤簿をしっかりつけよう

練習時間の扱いや固定残業代の導入により残業代を整備したとしても、出勤簿を付けてない事をいいことに、勤務時間を改ざんし無茶苦茶な残業代を請求してくるスタッフが現れるかもしれません。

相手が嘘をついていたとしても、それを証明する方法が無ければ反論は出来ませんし、そもそも労働時間を管理していないという事で悪印象になり、まったく払う必要のない残業代を払わなければならなくなる事もあります。そのようなトラブルが無いように出勤簿をしっかりとつけ、遅刻や早退、欠勤なども含めて記録を残しておくようにしましょう。

以上スタッフとの残業代のトラブルを回避する方法を紹介しましたが、何よりも大切なのはスタッフの方が納得して働く事ですので、一度社内で話し合ってはいかがでしょうか。

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