年の途中でアルバイトから正社員になり、税区分が乙欄から甲欄になった従業員がいる、その逆で正社員からアルバイトになり税区分が甲欄から乙欄になった従業員がいるという会社も少なくないのではないかと思います。
今号では正社員として勤務していた方から年の途中で退職の申し出があり、別の会社に転職されるのですが、人員不足のため、そのままアルバイトとして継続して勤務してもらうことになった場合の源泉徴収票の発行について解説していきます。
目次
従業員が年度の途中に「甲欄から乙欄へ」取扱いが変わった場合
従業員が年度の途中に「甲欄から乙欄へ」取扱いが変わった場合(退職したが引き続きアルバイトとして勤務等)、甲欄の分の源泉徴収票と乙欄の分の源泉徴収票を発行します。
■甲欄分の源泉徴収票
甲欄での期間の「支払金額、源泉徴収税額、社会保険料の金額」を記入し、「摘要」に「主たる給与等の支払者でなくなった旨及びその年月日」を記載
■乙欄分の源泉徴収票
乙欄での期間の「支払金額、源泉徴収税額、社会保険料の金額」を記入し、「摘要」に「年調未済」と記載
従業員本人が上記の源泉徴収票と、転職先の会社からもらう源泉徴収票を含め計3枚で確定申告を行います。
従業員が年度の途中に「乙欄から甲へ」取扱いが変わった場合
従業員が年度の途中に「乙欄から甲へ」取扱いが変わった場合は(従たる(または副)アルバイトが転職で当社社員になる等)、退職した会社の甲欄の分の源泉徴収票を提出してもらいます。
当社の乙欄の分の給与、当社の甲欄の分の給与を合算し、年末調整を行い、源泉徴収票を発行します。
・「摘要」には、退職した会社の情報を、就職前に他の支払者から受けた給与等を通算して年末調整を行う場合に準じて記載
※年末調整を行う時点で甲欄として在籍している会社の分は、甲・乙を分けて源泉徴収票を発行する必要がなく、この場合、従業員本人は確定申告を行わずに済みます。
扶養控除申告書の提出依頼の際のアナウンスと回収状況の確認を徹底しておきましょう
扶養控除申告書を提出することは「主たる給与をもらっている会社」であることを証明しているとも言えます。大抵の会社は入社時や年末調整時に扶養控除申告書の提出を求めていると思います。提出が漏れている場合に「年末までに回収できれば…」と督促を後回しにしたまま甲欄で処理をしてしまい、退職等で未回収のままにしてしまうことは税務調査で不備が発覚した場合、多額の追徴課税が発生してしまいます。
入社時や年末調整等で配布の際に「ダブルワークの場合はどちらが主たる会社となるのか」「主たる給与の支払いの場合は扶養控除申告書を提出すること」「提出しない場合は乙欄での課税処理となること」「乙欄の場合は税率が高いこと」「所得税の算出は1年間の所得金額から算出されるので、副業をしている場合は確定申告の必要があること」を説明することは、とても重要です。従業員にとって乙欄での所得税控除は金額的にインパクトがあるはずだからです。
入社時に提出書類として「扶養控除申告書」を求めるケースがほとんどでしょう。パート・アルバイトを多く雇用する会社はこのような案内をすることが本人にとっても、会社にとってもトラブルを回避する作用となるはずです。日々、業務をしている私たちには当たり前のことでも従業員にとっては、はっきりしない点ということを認識しアナウンスを行っておきましょう。回収状況の管理を徹底しておくと、年末調整や税務調査の対応をスムーズに行うことができます。
困ったら専門家に相談することを検討
労務関係や助成金のことで、困ったことや具体的に聞きたいことがあれば社会保険労務士に相談してみるのも一つの方法です。
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