【ティール組織とは?】メンバーによるチームの自主的な運営体制

企業における次世代型組織の最新モデルとして注目を集めているのがティール組織です。12カ国語・20万部を超えるベストセラー『ティール組織―マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』(フレデリック・ラルー著英治出版)が2018年に翻訳され、日本でも勉強会が開かれるようになりました。

ティール組織と従来の組織との違いは?

ティール組織は、次の3つの特長があります。
セルフマネジメント」「全体性」「進化する目的」です。

特徴①セルフマネジメント

従来の組織では、トップダウン型の指令系統またはボトムアップ型の合意形成によってマネジメントが行われています。しかしティール型では、メンバーが連携しながら組織の目的にあわせて自主的に意思決定をします。企業は、メンバーが所属する各チームに権限を委譲し、サポートを行うのです。

特徴②全体性

「全体性」とは、「個人としての全体性の発揮」を意味します。従来の組織では、企業の構成員は限定された役割を果たすことのみを求められていました。その点、ティール組織では不安ややりがいなどの個人的心情も全体の中の重要な要素として考えられるのです。「ありのままの自分をすべてさらけだす」という流れを推進します。

特徴③進化する目的

「進化する目的」とは、企業自体を1つの進化する生命体とする位置づけです。企業を株主や社長のものとする従来の考え方とは異なり、変化する環境の中で何のために進化する企業であるかを問い続けるという姿勢が重要になります。

これら3つがティール組織の特徴であり、アイデンティティとされています。

ティール組織を導入して成功した事例とは?

日本では研究がはじまったばかりのティール組織ですが、業績が大きく向上した企業の事例が海外では見られるようになりました。
オランダの訪問医療の「Buurtzzorg(ビュートゾルフ)」という非営利団体が有名です。この在宅介護支援団体は、2006年の設立からおよそ10年間で、24ヶ国、850チーム、1万人以上の介護士が働く組織に成長しました。そして850のチームは、マネージャーを持たずチームごとに独立して運営されているのです。
彼らは、独自の社内Web環境を活用しています。社内SNSによるコミュニティ機能、患者の健康データ管理、メンバーのスケジュール、メンバー間の相互評価システムが社内Web上で公開され、チーム内で今後どう動くかの方針を決め共有しているのです。
先述したティール組織の3つのアイデンティティを浸透させ、かつそれがうまく機能するようなしくみ作りが功を成した事例とされています。

ティール組織を導入するためには

ティール組織とは、メンバーによるチームの自主的な運営が基盤になります。そのため「こうすればいい」というインストールモデルは存在しません。また、導入する企業や部署がティール組織モデルが向いているのかどうかという検討は必要不可欠です。
従来の組織では意思決定に時間がかかり機会を逸してしまう、マネジメント工数が膨大になっている、メンバーにもっと自主的に問題解決をしてほしい、という悩みの声はありますか?そのような場合には、導入を検討してみてもいいかもしれません。
「セルフマネジメント」「全体性」「進化する目的」のどれか1つから徐々に導入していくことも有効でしょう。例えば、メンバーが安心して相談しあえるチーム内コミュニティサイトの立ち上げから始めることも第一歩と言えます。

ティール組織のまとめ

ティール組織のイメージを掴むことはできたでしょうか。企業全体で取り入れることが難しくても、部分的に取り入れてマネジメント工数を減らす取り組みは可能なはずです。
ティール組織のメリットは、メンバー全員が信頼しあい、自らの決定で自主的に進化できる点です。そのために必要なデータを可視化し、チームが行き詰ったときにサポートするアドバイザーがいることで、働く喜び、やりがいを分かち合えるフラットな組織が実現するでしょう。

詳しく知りたい方は、冒頭の書籍をご覧になることをオススメします。

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