人事・労務ご担当者様必見!2025年施行の労働・社会保険関連法令改正ポイント総まとめ

新しい年を迎え、法改正対応への準備は万全でしょうか?2025年は、雇用保険法や育児・介護休業法を中心に、改正法の施行がいくつも予定されています。新年1号目の今号では、企業のご担当者様が実務上おさえておくべき労働・社会保険関連法令改正ポイントをご紹介しましょう。

2025年1月1日改正 厚生年金「養育特例」添付書類が省略可能に

子が3歳に達するまでの養育期間中に時短勤務等で収入が低下した場合、「養育期間標準報酬月額特例(養育特例)」を申し出ることにより、保険料は標準報酬月額の低下に応じて引き下げつつも、養育開始以前の標準報酬月額に基づく年金を受けることができます。この申し出には、原則として「戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書」の添付を要しますが、2025年1月より、申出者と子との身分関係の証明について事業主による確認を受けた場合には添付不要となりました。

参考:e-Gov「厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令案に関する意見募集の結果について_命令などの案 概要
関連記事:『2025年1月より、「養育特例」手続き時の添付書類が省略されます

2025年4月1日改正 障がい者法定雇用の除外率引き下げ、育児・介護関連制度拡充

2025年4月以降は、障がい者法定雇用の除外率引き下げ、雇用保険法及び育児・介護休業法関連の改正が予定されています。

障がい者雇用の除外率10ポイントずつ引き下げ

障がい者雇用には法定雇用率が設定されており、現状、民間企業では従業員40人以上につき1人以上の障がい者を雇用しなければなりません。ただし、障がい者の就業が一般的に困難とされる業種には除外率が設定され、雇用義務が軽減されています。この点、2025年4月以降、業種ごとの各除外率が10ポイントずつ引き下げられる予定です。

参考:厚生労働省リーフレット「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について
関連記事:『建設業等の対象企業は要ご確認!2025年4月、障がい者雇用の除外率が一律10ポイント引き下げへ 

雇用保険「出生後休業支援給付金」及び「育児時短就業給付」の創設

〇 出生後休業支援給付金
夫婦ともに14日以上の育児休業を取得する場合に、休業開始時前の13%相当額を給付し、育児休業給付と合わせて80%に引き上げる制度が新設されます。夫婦両方が14日以上の育児休業を取得する場合に、最大28日間が対象となります。
〇 育児時短就業給付
2歳未満の子を養育する雇用保険被保険者が時短勤務をしている場合、時短勤務中に支払われた賃金額の10%を支給する制度が創設されます。

参考:厚生労働省「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律が公布され、雇用保険制度が変わります
関連記事:『速報!2025年度新設の育児休業関連新制度「出生後休業支援給付」「育児時短就業給付」を解説

育児・介護休業法 仕事と育児・介護の両立支援制度拡充

仕事と育児・介護の両立支援強化を主軸とする改正育児・介護休業法が2024年5月31日に公布され、2025年4月、10月の二段階で施行される予定です。昨今深刻化する働き手不足への対応として、あらゆるライフステージにおける仕事と生活の両立が可能となるよう、育児及び介護の観点から職場環境の整備が図られます。
〇 育児関連制度の拡充
・子の看護休暇の見直し
・所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
・短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加(努力義務)
・育児のためのテレワーク導入
・育児休業取得状況の公表義務適用拡大
〇 介護関連制度の拡充
・介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
・介護離職防止のための雇用環境整備
・介護離職防止のための個別の周知・意向確認等
・介護のためのテレワーク導入(努力義務)

関連記事:『2024年5月31日公布の改正育児・介護休業法|7つの改正点と施行時期を総まとめ

2025年10月1日改正 育児・介護休業法「柔軟な働き方を実現するための措置等の義務化」

改正育児・介護休業法のうち、2025年10月施行部分に「3歳以上の子を養育する労働者の柔軟な働き方のための措置」があります。ポイントは以下の2点で、労使間での協議等、事前準備が必要となります。

〇 3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者へ選択的措置義務の導入
〇 導入した選択的措置義務について、労働者への個別周知、意向確認措置

参考:厚生労働省リーフレット「育児・介護休業法改正のポイント
関連記事:『改正育児介護休業法対応!2025年10月施行「柔軟な働き方を実現するための措置義務」には事前準備が必須

法改正に伴い、就業規則等の改定が必要です

今号では、2025年の主な法改正項目をピックアップしてご紹介しました。とりわけ改正育児・介護休業法への実務対応では、柔軟な働き方を実現するための措置等に係る社内制度の検討の他、既存の就業規則及び労使協定の改定が必要となります。具体的な規定例は、厚生労働省のホームページに掲載されていますので、参考になさってみてください。

参考:厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例

LINEで送る

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事