よく耳にするけどなかなか理解できない「配偶者控除」。いよいよ2018年、二十数年ぶりに改正されることになりました。企業の管理部門に就かれている方はもちろん、夫や妻の収入をしっかり103万円以下に抑えていらっしゃった方も必見です。
そもそも配偶者控除ってなに?
会社員(ここでは夫)は毎月の給与から税金が天引きされます。税金を計算する際に、さまざまな条件によって税金を減らせることを「控除」といいます。その一つに「配偶者控除」があり、一定の条件を満たした配偶者がいる場合に適用されます。
配偶者控除の一定の条件とは?
(1) 民法の規定による配偶者であること。
(2) 納税者と生計を共にしていること。
(3) 給与収入が103万円以下であること(収入が給与のみの場合)。
※年間の合計所得金額が38万円以下であること。
(4) 青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていないこと。
※または白色申告者の事業専従者でないこと。
妻がパートなどで収入を得ている場合、妻の年収が103万円以下であれば妻は所得税の支払いが免除されます。さらに夫の所得から38万円が控除されます。
配偶者特別控除とは?
配偶者に「38万円以上の所得」があり配偶者控除が適用されない場合でも、配偶者の所得金額に応じて一定の所得控除を受けられることを言います。
配偶者特別控除の条件とは?
(1) 控除を受ける人のその年における合計所得金額が1千万円以下であること。
(2) 配偶者が、次の五つの要件全てに当てはまること。
イ 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
ロ 控除を受ける人と生計を一にしていること。
ハ その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
ニ 他の人の扶養親族となっていないこと。
ホ 年間の合計所得金額が38万円超76万円未満であること。
妻がパートで収入を得れば得るほど夫は配偶者控除が使えなくなり、かえって手取りが少なくなってしまう問題が発生したことから、このような仕組みが作られました。
配偶者控除の何が改正されるの?
配偶者控除の見直しにより、いわゆる「103万の壁」が「150万の壁」へと引き上げられることになりました。女性の働く意欲を損なわないため、その意思を尊重しようということが狙いです。しかしこれにより、一見パート主婦の労働時間や日数が増えるように考えられますが、所得税や社会保険加入の条件に変わりはないため、企業にとっては大きな変化はないのではないか、と言われています。
まとめ_配偶者控除の上限金額が変わる
ここまで「配偶者控除」・「配偶者特別控除」の違いを交えながら、改正内容について簡単に説明してきました。「配偶者控除」における上限給与額が「103万」から「150万」に増額される。その点をご理解していただきたく存じます。
各家庭・人生により「働き方」はさまざまです。改正前に、従業員の方と今後どのような働き方を望んでいるのか、意向をしっかりヒアリングするといいかもしれません。