残業を行ったとき、労働者に対して残業手当を支給する必要があります。残業手当の端数、どのように扱っていますか?端数が生じてしまったときにはどのように処理すべきなのでしょうか。時間と賃金について具体的な方法が厚生労働省から示されています。
端数処理の原則は一ヶ月単位計算で四捨五入
労働者の残業手当については一時間あたりで計算するのが原則になっています。その上で、残業時間について端数が生じた場合の処理については、一ヶ月単位での計算が原則です。給与は一ヶ月分の労働に対して支給する形に整えられているのが原則であるため、その通算の時間について端数処理を行うように定められているのです。
一ヶ月単位で計算し、その場合に端数として余った残業時間の三十分未満については切り捨てを行い、三十分以上の場合には一時間に切り上げて計算するのが正しい方法です。一日あたりの残業時間をみて端数の切り上げ、あるいは切り捨てをするのは、正しい計算方法ではありません。
もう一つの端数処理。賃金の計算方法
残業手当として支払われる賃金は、一般的には円単位ではなく銭単位で計算されます。このとき銭単位での端数が生じた場合にも計算方法は定められています。
一時間あたりの賃金について銭単位の端数が生じた場合には50銭未満は切り捨ててしまい、50銭以上の場合には切り上げるのが正しい計算方法です。一ヶ月あたりの賃金についても同様であり、端数処理の方法としては50銭未満の切り捨て、50銭以上の切り上げという方法が基本となっています。
このように、賃金計算の際に生じる端数については原則として四捨五入で計算することとされています。
実は3つある?賃金の端数処理と計算方法
一ヶ月分の賃金計算については、一円未満の端数が生じた場合に四捨五入によって切り捨てあるいは切り上げをするのが原則となっています。
しかし、就業規則に定めることによって別の形で端数処理を行うこともできます。その具体的方法は、厚生労働省から二つの提示があります。
一つは、一ヶ月分の賃金について100円未満の端数が生じたときに50円未満は切り捨て、50円以上は切り上げとする方法です。
もう一つの方法として、1000円未満の端数が生じた場合、その端数を翌月に繰り越すという形で処理することもできます。この方法の場合、その月での賃金は形式上切り捨てられることとなりますが、その分は翌月に加算されることになるという方法です。
端数の扱いについては熟慮が必要
残業手当を支給する際の時間の端数については、月締めのタイミングで一時間単位とするための方法が定められています。しかし、賃金の端数処理については就業規則に定めることで三つの方法から選ぶことが可能なのです。微々たる違いであるとはいえ、毎月の支出額に影響を与えることです。丁寧に規則を定めていきましょう。