職場における新型コロナ感染拡大抑止策として、「職場接種」に続き推奨される「職場検査」

職場における労務関連での新型コロナ対応、具体的には、環境面での感染防止策やワクチン接種奨励のための休暇制度創設等については、これまで打刻ファーストでもご紹介している通りです。これらに加え、企業におけるさらに一歩踏み込んだコロナ対応としてここ数ヵ月のうちに注目を集めるようになったのが、ワクチンの「職場接種」、そして「職場検査」です。

新型コロナの「抗原検査」は医療従事者が常駐しない企業でも実施可能に

厚生労働省は全国の都道府県知事に対し、2021年6月25日に「職場における積極的な検査等の実施手順(第2版)について」を発出しました。本通達では「事業所内に診療所が所在する場合」「事業所内に診療所が所在しない場合(職場での検査実施の場合)」「事業所内に診療所が所在しない場合(連携医療機関での検査実施の場合)」の別に、検査実施、陽性判明時の対応、接触者の特定と隔離・検査等についてまとめられています。実施手順をご一読いただき、職場における抗原検査の実施を検討しましょう。

なお、一般企業であれば「事業所内に診療所が所在しない場合(職場での検査実施の場合)」に該当するケースも多いと思いますが、実施手順によると、以下の要件を満たす限り、抗原検査の実施は可能とされています

✓ 連携医療機関(新型コロナウイルス感染症の診療・検査及び患者の診断を行うところに限る。)と事業所とが連携し、検査実施のための体制・環境を予め整備しておく。
連携医療機関がない場合は新たに地域の医療機関と連携して対応する。

✓ 検査を管理する従業員(※)を定め、抗原簡易キット等による新型コロナウイルス感染症の抗原定性検査を実施するに当たって必要な検体の採取、判定の方法、その他の注意事項に関する研修を受けさせ、研修の受講を確認する。
※「検査を管理する従業員」とは、検査の実施に関して必要な事項・注意点を理解し、実際に検査を行う際に被検者への指示や検査結果の判定等を行う従業員のこと

従業員数50名以上規模であれば産業医に相談のうえ医療機関で検査実施できるのが理想

もっとも、従業員数50名以上規模であれば産業医にご相談いただき、医療機関で検査実施できるのが理想です。小規模の事業場においては、以上の各項目を満たすことで初めて、職場実施分の抗原簡易キットを入手し、職場検査を実施できます。

職場接種の新規申請受付は停止中(2021年7月14日現在)

地域の負担軽減、接種の加速化を目的に、新型コロナワクチンは現在、企業や大学等の職域(学校等を含む)単位でも接種が進められています。

職場接種に際し、「接種に必要な医師や看護師、会場の確保を企業側が行えること」「1000人以上規模で実施できること(人数が満たない場合、関連会社や複数社との連携で1000人以上となれば申請可能)」等の要件を満たす必要があります。

通常、事前にオンラインで申請することで申込ができるようになっていますが、2021年6月25日(金)午後5時以降新規の申請受付が停止されており、受付再開の目途は立っていません(2021年7月14日現在)

参考:厚生労働省「職域接種に関するお知らせ

職場接種、職場検査に際しては、「プライバシーの侵害」「同調圧力」に注意

今後、職場接種や職場検査を検討される場合、従業員に対するプライバシー侵害、接種や検査を希望しない従業員への配慮に注意が必要です。ワクチン接種も抗原検査の受検も、あくまで本人の希望によって行われるべきものです。また、ワクチン接種や検査受検の有無自体が個人情報に該当するため、慎重に取り扱われなければなりません。

職場においては、接種や検査の強制が厳禁であることはもちろんのこと、同調圧力を生じさせることなく希望者のみが接種・検査できること、従業員のプライバシー管理に努める必要があります。

職場接種・職場検査の実施に向けた準備は多岐に渡り、一つひとつが容易ではありませんが、現場の実情やニーズに鑑み、必要に応じて前向きに検討すべきテーマと言えそうです。

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