海外でのリモートワークにおける注意点とは?

外国籍の社員が在籍している場合、家庭の事情で母国に一時帰国しなければならないということが発生することがあるかと思います。
もし、期限を定めた出張扱いとし、その間もリモートワークにて国内と同様の業務を続けてもらうことになった場合、社会保険や税金等の様々なことについて、あらかじめ確認しておく必要があります。
今号では、海外でのリモートワークにおける注意点についてまとめていきます。

雇用契約が継続するのなら国内勤務と同様で問題ない

リモートワークの実施が海外である場合、労使関係に変更がなく、雇用契約が今までどおり継続されるのであれば就業規則、社会保険や労災、給与支払について国内勤務と同様で問題ございません。

就業規則、各規程について

就業規則、経費の取り扱いについては、在宅勤務になること以外はこれまでの契約関係を継続しますので、現規則、各規程を適用することでよいかと思います。時差がある場合はリアルタイムでコミュニケーションを取る時間を工夫する必要があるでしょう。

健康保険、介護保険について

「適用事業所に使用される者」が被保険者の条件ですので、雇用関係が継続している限りその他の条件を満たしていれば継続します。実際に海外で医療費が発生した場合は一旦海外での医療費を全額実費で払ってもらうことになりますが、海外療養費を請求し、事業主を経由して受け取ることができます。

海外での治療内容や医療費は国によって異なります。給付される金額は日本国内の医療費を基準として算定されるため、現地での支払額の7~8割が戻るわけではありません。自己負担額が多額になる可能性がありますので、備えとして民間会社の海外旅行傷害保険に加入することを検討してもらいましょう。

介護保険は国内に住所がある人のみ適用されます。海外に転居する場合は適用除外該当の手続きが必要です

厚生年金について

健康保険と同じく雇用関係が継続している限り被保険者となります。滞在国が社会保障協定を締結している国であれば年金保険料を免除してもらうことができますが、締結されていなければ両国で年金に加入しなければならない場合があります。滞在国の年金制度を確認してください。

労災保険・雇用保険について

今回のケースでは海外出張扱いとなり、国内事業で加入している労災が適用されます。海外での事故が労災と認定されれば補償の対象となります。雇用保険は雇用契約が続いているので継続になります。

税金に関して

居住者もしくは非居住者(1年を超えるか超えないか)で扱いが異なります。居住者であれば現状のままで結構です。年末調整も通常どおりに行います。非居住者になる場合は基本的に現地での課税になります。尚、出張期間が1年未満であっても現地で課税される場合がありますので滞在国との租税条約や税制を確認されることをお勧めします。

税区分が非居住者の場合、賞与支払期間によっては日割按分が発生

賞与計算期間中に出国し、税区分が非居住者になった場合、出国前の期間には非居住者課税(20.42%)が発生します。出国年調後に給与システムを変更し、次月以降の給与所得課税設定が完了したまま賞与計算を行ってしまうと、賞与額全てに税区分が適用され、課税に誤りが発生してしまいます。賞与処理のチェックリストなどを作成し適切な処理を行いましょう。また、翌年1月の法定調書提出も必要となりますので、海外リモート勤務を許可する場合に発生する事象をリスト化しておきましょう。

再入国の手続きも必要

今までの再入国許可やみなし再入国許可に追加して、令和2年9月7日以降に出国を希望する場合は事前の申出が必要になりました。基本的にはご本人が申請いただく内容になりますのでご注意ください。

困ったら専門家に相談することを検討

労務関係や助成金のことで、困ったことや具体的に聞きたいことがあれば社会保険労務士に相談してみるのも一つの方法です。

もしお困りのことがございましたらこちらをクリックし、どんな小さなことでもお気軽にお問い合わせください。

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