みなし労働時間制とは?勤怠管理が面倒だから全員_そんなことありませんか?

言い訳をしながら勤怠管理をしない会社がまだまだ多く存在します。「うちは全員、みなしだから」という声も聞きます。本当にそれは適法なのか?確認しましょう。

みなし労働時間制とはどんな場合に適用できる制度なのか

現在日本では、約1割を超える企業でみなし労働時間制が採用されています。みなし労働時間制とは、営業職や雑誌記者など、実働時間を把握することが困難な者に対して適用される制度です。労働者にとっては、この制度によって一日の労働時間が一律に決まってしまうため、どんなケースや職種であれば適用可能なのかが議論されることもあります。使用者の側としては、みなし労働時間制がどんなものかを正しく理解して、実際に適用できるかどうかを確かめておくことが大切です。

みなし労働時間制とは?対象の業務は3種類

みなし労働時間制に当たるのは、次の3種類です。

事業場外のみなし労働時間制

「事業場外のみなし労働時間制」は営業職の社員などが会社や事務所の外に出て仕事をするというケースで、「事業場外労働」と呼ばれています。 会社外で仕事をする場合にはすべて適用されるわけではなく、監督者がいないなどの理由で労働時間を知ることが現実に困難である場合に限られています。 また、みなし時間がどれくらいになるかは、労使間であらかじめ取り決めをすることが必要です。みなし時間が法定労働時間を超える場合は、労働基準監督署への届出をしなくてはいけません。

専門業務型裁量労働制

裁量労働制が適用できるのは、商品開発や技術開発といった研究部門に携わる人や、弁護士や税理士といった士業の人、デザイナーやシステムコンサルタントなど、特定の職種に携わる人に対してとなっています。 この場合も、労使間でどんな職種に適用するかや、みなし時間について協議をした上で、労働基準監督署に対して届出や報告をする義務があります。具体的には以下の19業務が対象となります。

専門業務型裁量労働制の対象:19業種

(1)新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
(2)情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であつてプログラムの設計の基本となるものをいう。(7)において同じ。)の分析又は設計の業務
(3)新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法(昭和25年法律第132号)第2条第4号に規定する放送番組若しくは有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律(昭和26年法律第135号)第2条に規定する有線ラジオ放送若しくは有線テレビジョン放送法(昭和47年法律第114号)第2条第1項に規定する有線テレビジョン放送の放送番組(以下「放送番組」と総称する。)の制作のための取材若しくは編集の業務
(4)衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
(5)放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
(6)広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)
(7)事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)
(8)建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)
(9)ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
(10)有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)
(11)金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
(12)学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)
(13)公認会計士の業務
(14)弁護士の業務
(15)建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務
(16)不動産鑑定士の業務
(17)弁理士の業務
(18)税理士の業務
(19)中小企業診断士の業務

詳細は厚生労働省「専門業務型裁量労働制」をご確認ください。

企画業務型裁量労働制

事業運営上の重要な決定が行われる企業の本社などにおいて企画、立案、調査及び分析を行う労働者を対象とした制度です。そのため以下のような条件がつきます。

企画業務型裁量労働制は「対象業務が存在する事業場」のみ

条件は以下の通りです。
1)本社・本店である事業場
2)1のほか、次のいずれかに掲げる事業場
  (1)  当該事業場の属する企業等に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行なわれる事業場
  (2)  本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく独自に、当該事業場に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす事業計画や営業計画の決定を行っている支社・支店等である事業場

※ 個別の製造等の作業や当該作業に係る工程管理のみを行っている事業場や本社・本店又は支社・支店等である事業場の具体的な指示を受けて、個別の営業活動のみを行っている事業場は、企画業務型裁量労働制を導入することはできません。

詳細は厚生労働省「企画業務型裁量労働制」をご確認ください。

みなし労働時間制の注意点_みなし残業とは違うの?

みなし労働時間制は、実際に労働時間の把握が難しい場合にのみ適用できるもので、残業代を固定して支払う「みなし残業」などとは異なります。 注意しておかなくてはいけないのは、勤務中の状況について会社と常時連絡を取り合っているような場合には、労働時間の把握が困難だとは認められないということです。同様に、スマートフォンや携帯電話などで外出先から勤怠管理を行っている場合も、みなし労働時間制の対象とはなりません。

例えば、運送業で働くドライバーであれば、その日の目的地やスケジュール、ルートなどがあらかじめ決まっている場合がほとんどです。勤務中には会社への報告義務などもあります。このようなケースは、みなし労働時間制の適用対象には当たらないのです。

また、年少者や妊産婦に対しては、みなし労働時間制の適用自体が禁じられています。

みなし労働時間制とは、みなし時間などについて労使間での合意を前提とするものであり、使用者が自由に決定できるものではないわけです。会社に営業職や外回りの社員がいるからと言って、その人たちが即座にみなし労働時間制の対象になるものではない、ということを念頭に置いておくことが必要でしょう。

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