フレックスタイム制の清算期間が「3ヵ月間」に。清算ルールをチェック【労働基準法改正2019】

働き方改革に伴う労働基準法改正の中で、フレックスタイム制の清算期間に関わるルールが大きく変わります。この変更により、現状「5.4%」の企業におけるフレックスタイム制の導入率が、2019年春以降大幅に増えていく見込みです。

フレックスタイム制の何がどのように変わるのか、わかりやすく解説します。

フレックスタイム制の清算期間が最長「1ヵ月」から「3ヵ月」に

労基法改正により、フレックスタイム制の清算期間は、最長「1ヵ月間」から「3ヵ月間」へと延長されます。今後はフレックスタイム制を用いた「月をまたいだ労働時間の調整」が可能となり、より柔軟な働き方が可能となります。

そもそもフレックスタイム制の目的は、

「一定期間(清算期間)の総労働時間を定め、労働者がその範囲内で各日の始業及び終業の時刻を選択して働くことで、労働者が仕事と生活の調和を図りながら効率的に働くことを可能にすると共に、労働時間の短縮を実現すること」

ですから、このたびの法改正によって、一層この趣旨に合った制度となります。

ここで、現状のフレックスタイム制の仕組みを復習しつつ、制度がどのように変わるのかをみていくことにしましょう。

清算期間最長1ヵ月のフレックスタイム制の仕組み

[現行制度]
最長1ヵ月の清算期間内に、所定労働時間の枠内で、労働者が始業・終業時刻を自由に選択する

清算期間を1ヵ月とした場合、労働者は下記の総枠の中で月の総労働時間を調整します。これにより、「月の前半にたくさん働いて、後半は労働時間をセーブする」というような同月内での調整が可能となる、というわけです。

出典:東京労働局「フレックスタイム制の適正な導入のために

一般的に清算期間を1ヵ月に設定する現行制度では、「1日」「1週」の単位について、時間外労働が発生することはありません。あくまで上記の図にある清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間数が、時間外労働として割増賃金の支払い対象となります。

清算期間最長3ヵ月のフレックスタイム制の仕組み

一方、清算期間を最長3ヵ月に設定した場合のフレックスタイム制では、3ヵ月以内での労働時間の調整が可能になります。

出典:厚生労働省「第189回国会(常会)提出法律案

フレックスタイム制の清算期間「3ヵ月」、時間外労働時間数の計算方法は?

現状のフレックスタイム制では、1ヵ月の法定労働時間の総枠を超えた時間数が割増賃金の対象となっています。今後、清算期間が最長3ヵ月となった場合、時間外労働の計算はさらに複雑となるため、導入の際には注意が必要です。

清算期間1ヵ月超3ヵ月以内のフレックスタイム制における法定時間外労働の考え方

下記①②の合計が、割増賃金の支給対象となる法定時間外労働となります。

①清算期間を1ヶ月ごとに区分した各期間(最後に1ヶ月未満の期間を生じたときには、当該期間)における実労働時間のうち、各期間を平均し1週間当たり50時間を超えて労働させた時間

※計算式

②清算期間における総労働時間のうち、当該清算期間の法定労働時間の総枠を超えて労働させた時間(ただし、上記①で算定された時間外労働時間を除く。)

清算期間を3ヵ月に設定した場合の算出の流れとしては、

<1ヵ月経過時点>
実労働時間が平均し1週間当たり50時間を超えて労働させた時間数に対し割増賃金を支給

<3ヵ月終了時点>
法定労働時間の総枠を超えた時間数に対する清算を行う

・・・と、上記のようになります。

割増賃金の算出については、これまでよりも複雑な流れとなります。新たなルールを正しく把握しておくと共に、労働者各人について、そもそも時間外労働が生じない働き方を検討しておくことも重要ではないでしょうか?

ーーー

フレックスタイム制の導入企業においても、各日の労働時間の把握は使用者責任として行う必要があります。また、清算期間が1ヵ月を超える場合には、対象労働者が自身の各月の時間外労働時間数を把握しにくくなることから、使用者から対象労働者に対し、各月の労働時間数の実績を通知することが望ましいとされています。

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