連日、新型コロナウイルスに関わる報道が飛び交う中、日本国内での感染者数は着実に数を増しています。この恐ろしい感染症が特に猛威をふるう中国といえば、ビジネス上、日本とのつながりは切っても切れない国のひとつであり、恒常的に人を行き来させる企業も少なくないでしょう。ここで心配になってくるのが、新型コロナウイルス蔓延に伴う事業所での対応です。
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厚生労働省が「新型コロナウイルスに関する事業者・職場のQ&A」を公開
日本国内では、2月4日正午時点ですでに16名の感染が発覚しています。もちろん、それぞれの感染者の周辺には濃厚接触者がいるわけですが、そのすべてが把握されているわけではありません。新型コロナウイルスの潜伏期間は未だ明らかではなく、最大14日間とされていることから、意図せずいつ、誰に感染していてもおかしくない状況です。
こうした中、厚生労働省は「新型コロナウイルスに関する事業者・職場のQ&A」の中で、よくある問い合わせに対する回答を公開しています。
- Q 新型コロナウイルスに関連して労働者を休業させる場合、どのようなことに気をつければよいのでしょうか?
- Q 労働者が新型コロナウイルスに感染したため休業させる場合、休業手当はどのようにすべきですか?
- Q 労働者が発熱などの症状があるため自主的に休んでいます。休業手当の支払いは必要ですか?
詳細は下記ページをご覧ください。
出典:厚生労働省「新型コロナウイルスに関する事業者・職場のQ&A」
職場における感染症対策の要は、手洗いやマスク着用、アルコール消毒といった基本的な対応となります。「自分の周りは大丈夫」と過信するのではなく、一人ひとりにできることを確実に行っていくことが最大の予防であると考えられます。
万が一の際に活用すべき、新型コロナウイルスに係る電話相談窓口
事業所内において、新型コロナウイルス関連で何か心配なことが生じた場合には、なるべく早期の対応が肝心です。厚生労働省は専用の電話相談窓口を開設しているので、必要に応じて活用しましょう。
○ 厚生労働省の電話相談窓口 電話番号 03-3595-2285
○ 受付時間 9時00分~21時00分
出典:厚生労働省「新型コロナウイルスに係る厚生労働省電話相談窓口(コールセンター)の設置について」
ご存知ですか?もしもの時のためのBCP策定
例えば、職場で感染症が蔓延したり、大地震や洪水等が生じたりしたら、御社ではどのように対応するでしょうか?経営者自身はもちろん、従業員やその家族の安全を確認し守ることに加え、事業継続に必要な設備の復旧、取引先への対応等、取り組むべきことは多岐に渡りますが、それぞれの優先順位や具体的な手段は明確にされているでしょうか。
中小企業の場合、緊急事態の発生をきっかけにたちまち廃業となる可能性は決して低くありません。だからこそ、企業が緊急時を生き抜くための指針をあらかじめ策定しておく等の事前の備えが不可欠なのです。
皆さんの中には、「BCP」というキーワードをご存知の方も多いと思います。
「BCP(事業継続計画)」とは、自然災害や大事故、感染症等の発生時においても企業が可能な限り事業を継続させるための方針や体制、手順をまとめた計画書のこと。帝国データバンクの調査によると、BCPを策定している企業の割合は、従業員数50名以下の企業でわずか11.7%、1,000人超の企業においても52.6%にとどまるという結果が明らかになっており、その重要性は理解されつつも未だ浸透進まぬ状況があるようです(2019年5月時点)。
参考:帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2019年)」
「中小企業BCP策定運用指針」を活用してBCPの策定を
同調査では、BCPの策定が進まない理由として「策定に必要なスキル・ノウハウがない」、「策定する人材を確保できない」、「書類作りでおわってしまい、実践的に使える計画にすることが難しい」などが挙げられ、実務上の課題が浮き彫りになっています。
この点、中小企業庁が公開する「中小企業BCP策定運用指針」を活用することで、現状の確認と、段階に応じたBCP策定が可能となります。「実は、うちの会社では何も対応できていない」という現場では、ぜひお役立ていただき、必要な取り組みをまとめましょう。BCPの具体的内容については、今後、打刻ファースト内でも取り上げていく予定です。
出典:中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」