2022年度地域別最低賃金は過去最大の引き上げ見込み! 引き上げ額の目安は「31円」

すでに報道されている通り、2022年度地域別最低賃金は、全国的に大幅に引き上げられる方向で調整が行われています。昨年度に引き続き、過去最高の引き上げが見込まれることから、従業員の賃金額見直しが必要となる現場が多く生じることが予想されます。

2022年度地域別最低賃金改定額の目安

各都道府県の地域別最低賃金額は毎年10月上旬に改定されていますが、2022年10月から適用予定の新たな最低賃金額の目安が、2022年8月2日開催の第 64 回中央最低賃金審議会で答申されました。「誰もが時給 1,000 円」への通過点となる「平均 1,000円」への到達に向けた大幅引き上げ目安として、都道府県の経済実態に応じて分けられたABCDの4ランクごとに以下の引き上げ額の目安が提示されています。


参考:厚生労働省「中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告

最低賃金は全国平均で時給961円に

2022年10月より適用となる地域別最低賃金額は、上図に示された中央最低賃金審議会での答申を受け、今後各地方最低賃金審議会での調査審議・答申を経て、各都道府県労働局長により最終決定されます。もしも中央最低賃金審議会での答申通りの引き上げ額となった場合、最低賃金の全国平均額は「961円」となります。政府が目標とする「2025年度には全国平均で時給1,000円以上の達成」に向けて着々と進む一方、今般の新型コロナウイルス感染拡大により打撃を受ける企業においては対応に苦慮することとなりそうです。

提示された地域別最低賃金引き上げ額を受け、従業員の賃金見直しを

このたび示された10月以降の最低賃金引き上げ方針を受け、各現場においては対応に向けた準備を進めていくことになります。具体的には、雇用計画に関わる見直しや生産性向上に向けた取り組み等が想定されますが、とりわけ急務となるのが「既存の従業員の賃金額確認と見直し」です。例えば、現状、最低賃金を基準に時給設定している事業場も少なくないと思いますが、このようなケースでは10月以降、最低賃金を下回る従業員が生じる可能性が出てまいります。特に盲点となりがちなのは、「研修中のみ通常よりも若干時給を下げている」例です。この場合、研修中であっても最低賃金を超える時給を設定しなければなりませんので、注意が必要です。また、事業場内で下限となる賃金を引き上げるにあたっては、必然的に時給の底上げに目を向ける必要が生じるでしょう。このあたりの検討に時間を要すことが想定されますので、10月に間に合うよう、今のうちから対応を進めなければなりません。

「最低賃金以上か?以下か?」の確認方法について、日給制や月給制の場合の時給換算方法については以前の記事で解説していますので、ご一読ください。この他、固定残業代を採用している場合にも見直しが必要となりますのでご注意ください。判断に迷われる場合は、社会保険労務士にご相談いただくのが得策です。

事業場内の賃金引き上げに活用可能な業務改善助成金

最低賃金の改定に伴い、事業場内の賃金を見直す際には「業務改善助成金」を活用できます。業務改善助成金は、事業場内で最も低い時間給を一定以上引き上げ、生産性向上に取り組んだ場合に支給される助成金です。

参考:厚生労働省「業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援

中央最低賃金審議会目安に関する小委員会報告」には、政府への要望として「原材料費等の高騰にも対応したものとするなど、より一層の実効性ある支援の拡充」「業務改善助成金について、最低賃金が相対的に低い地域における重点的な支援の拡充」が明記されていることから、政府による今後の支援拡充に注目が集まるところです。業務改善助成金の概要や申請手続きの流れ、最新情報等については、今後、打刻ファーストでも解説してまいりますので、引き続き新着記事のご確認をお願いいたします。

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