【社会保険算定基礎届2023】届出用紙の書き方について、よくある疑問を分かりやすく解説

毎年6月から7月にかけては、労働保険年度更新と社会保険算定基礎届の手続きで慌ただしくなる時期ですね。年度更新も算定基礎届も、書き方自体はさほど難しいものではありませんが、一方で、各用語の定義を正しく理解する必要があったり、原則的な記入では対応できない事例もあったり等で、ご担当者様であれば何かと頭を悩ませることも多いようです。今号では、社会保険算定基礎届の書き方について、企業のご担当者からよく寄せられるご質問について解説しましょう

支払基礎日数について

Q1.支払基礎日数に有給休暇取得日を含めますか?
支払基礎日数とは、その報酬の支払い対象となった日数のことです。時給制・日給制の場合は実際の出勤日数が、月給制・週給制の場合は出勤日数に関係なく暦日数が支払基礎日数となります。有給休暇取得日は、労働の対象として賃金の支払されていることから、その取得日数も支払基礎日数に含めることとされます

Q2.月給制の被保険者に欠勤控除が生じた場合、支払基礎日数はどのように考えますか?
前述の通り、月給制・週給制の支払基礎日数は、原則として、出勤日数に関係なく暦日数になります。ただし、欠勤日数分だけ給料が差し引かれる場合は、就業規則や給与規程等に基づき、所定労働日数から欠勤日数を控除した日数が支払基礎日数となります。暦日数から欠勤日数を控除することの無いようにご注意ください。
なお、所定労働日数から欠勤日数を控除した結果、支払基礎日数が17日未満となった場合は、その月を除外して報酬の平均額を算出し、標準報酬月額を決定します。

Q3.短時間就労者(パートタイマー)の支払基礎日数はどのように考えますか?
一般的に、フルタイム労働者と比較して労働日数が少ない傾向にあるパートタイマーの支払基礎日数は、以下の原則に従って検討します

〇 原則として、支払基礎日数が17日以上の月の報酬月額の平均により算定
〇 支払基礎日数がいずれも17日未満の場合は、その3ヶ月のうち支払基礎日数が15日以上17日未満の月の報酬月額の平均により算定された額をもって、保険者算定による額とする
〇 支払基礎日数がいずれの月についても15日未満の場合は、従前の標準報酬月額をもって当該年度の標準報酬月額とする

ちなみに、算定基礎届には「短時間就労者(パートタイマー)」の他に、「短時間労働者」という区分が登場します。「短時間労働者」とは、いわゆる特定適用事業所に勤務し、社会保険適用拡大の対象となった方のことで、こちらは支払基礎日数が11日以上の月の報酬月額の平均により算定します
特定適用事業所の範囲については、引き続き段階的な拡大が予定されていますので、併せて確認しておきましょう。

関連記事:『【社会保険】2022年10月から進む「短時間労働者への適用拡大」|企業規模要件は段階的に「従業員数51人以上」まで引き下げ

給与締日変更時の取扱い

社会保険算定基礎届の対象期間は多くの企業において年度初めにあたるため、期間中に給与締日の変更が生じるケースは少なくありません。給与の締日が変更となった場合、変更月には支払基礎日数が増減することになりますが、それぞれのケースについて支払基礎日数と報酬額の考え方をおさえておきましょう。

〇 支払基礎日数が増加する場合
(例)締日を15日⇒25日に変更した場合
変更月のみ給与計算期間が前月16日~当月25日となり、通常よりも日数が多くなります。
この場合、前月16日~25日の給与を除き、変更後の給与制度で計算すべき期間(前月26日~当月25日)で算出された報酬を変更月の報酬としてその他の月の報酬との平均を算出し、標準報酬月額を保険者算定します
〇 支払基礎日数が減少した場合
(例)締日を25日⇒15日に変更した場合
例示のケースでは、給与支給日数が減少しても支払基礎日数が17日以上であるため、通常の定時決定の方法によって標準報酬月額を算定します
なお、締日変更により変更月の支払基礎日数が17日未満となる場合、その月を除外した上で報酬の平均を算出し、標準報酬月額を算定します。

月額変更届との関係について

昇給月が4月の会社では、昇給対象者が随時改定の対象となるかどうかを確認します。随時改定の対象となる場合、算定基礎届の対象からは外し、給与支払日に応じて「7月月変」「8月月変」のいずれかとして月額変更届を提出することになりますから、間違いの無いように処理しましょう。月額変更届の提出が必要となる随時改定の対象者要件、そして4月昇給の場合の月額変更届の考え方については、以下の記事で解説しています。

参考記事:『【社会保険算定基礎届】4月昇給者は「7月月変」「8月月変」の対象かどうかを検討しましょう

2023年度社会保険算定基礎届は、7月10日までに提出しましょう

今号では、社会保険算定基礎届の書き方について、皆さまからよく寄せられるご質問を中心に解説しました。併せてマニュアルをご参照いただきながら、2023年7月10日までに適正に届け出を行える様、準備を進めましょう!

関連:日本年金機構「算定基礎届の記入・提出ガイドブック 令和5年度

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