「意図せず労基法違反」に注意!学生アルバイトの労務管理

御社では、学生アルバイトを積極的に活用されているでしょうか?
正社員と比較して、学生アルバイトの労務管理が疎かになっていないでしょうか?
厚生労働省は、4月から7月にかけて「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを実施し、学生アルバイトに向けてワークルールに関わる啓蒙活動を行っています。労働者側の意識が特に高まるこの時期、会社側でも今一度、労務管理の在り方を見直しましょう。

学生アルバイトの労務管理、ココに注意!

「月に数日来てもらうだけだから」「どうせすぐに辞めてしまうから」という理由から、学生アルバイトに対して労務管理上不適切な取扱いをすることは労働基準法違反となりますのでご注意ください。学業との両立に配慮が必要な「学生」を労働者として雇い入れることに加え、その多くが「シフト制」という特殊な勤務形態での勤務となること、さらに同一労働同一賃金の観点での処遇検討が必要になることに鑑みれば、学生アルバイトの雇用に際しては、むしろ正社員雇用以上に留意すべき事項があると言えます。

「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンの重点事項を確認

学生アルバイトの労務管理上、特に注意すべき項目として、2023年度「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンの重点事項を確認しましょう。

(1) 労働条件の明示
(2) シフト制労働者の適切な雇用管理
(3) 労働時間の適正な把握
(4) 商品の強制的な購入の抑止とその代金の賃金からの控除の禁止
(5) 労働契約の不履行に対してあらかじめ罰金額を定めることや労働基準法に違反する減給制裁の禁止

参考:厚生労働省「令和5年度「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施します

実はこんなにある!法定の労働条件明示事項

学生アルバイトに対しても、正社員同様、雇入れの際には所定の労働条件を明示しなければなりません。会社側に明示義務のある項目は意外にも多岐に渡ります。

出典:厚生労働省「いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項

上記に加え、短時間・有期雇用労働者に対しては、「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口」も明示しなければなりません。

このように、労働条件明示事項については現状でもかなり多くありますが、2024年度以降は労働契約の締結・更新時の明示事項にさらに追加が生じることが明らかになっています。この点については、改めて別記事にて解説いたします。

参考:厚生労働省「令和4年度労働政策審議会労働条件分科会報告を踏まえた労働契約法制の見直しについて(無期転換ルール及び労働契約関係の明確化)

ご存知ですか?シフト設定・作成・変更に関わるルール

学生アルバイトを活用する会社ではシフト制を導入するケースが少なくありませんが、シフトの作成や変更に関わるルールが曖昧になっている例は多々見受けられます。
アルバイト側の「シフトに入れてもらえない」や会社側の「想定よりもシフトに入ってもらえない」等、シフトにまつわる諸問題は、総じて労使間の認識のズレによって生じます。これを防ぐために、まずは雇入れ時に1日の勤務時間数や週の労働日数の目安、一定の期間において最低限労働する日数、時間数等を労使間で明確にしておくことが大切です。
併せて、シフト希望の提出方法・期限、一旦確定したシフトを変更する際の手続き・期限等、シフト運用に関わるルールを定め、周知しておくことも不可欠です。

忘れてはならない、同一労働同一賃金対応

大企業では2020年4月から、中小企業でも2021年4月より適用となった同一労働同一賃金の影響により、「正社員」「アルバイト」といった雇用形態の別で一律に処遇を分けることができなくなっています。「学生というだけで、無条件に時給を低く設定する」「正社員には通勤費が支給されるがアルバイトには支給されない」等の取扱いを散見しますが、これらは不合理な格差に該当する可能性があるため、合理的な理由の有無の確認、必要に応じて格差の是正に取り組む必要があります。
また、同一労働同一賃金のテーマとは異なりますが、学生アルバイトに対する「割増賃金を支払わない」「有給休暇を与えない」「罰金をとる」等の労基法違反に該当する取り扱いは論外ですので、早急に正していかなければなりません。

関連記事:『「同一労働同一賃金の取組強化期間」スタート!現場における早急な取り組みを

「うっかり労基法違反」とならないよう、企業は襟を正すべし

アルバイト関連で弊事務所に寄せられるご相談といえば、ひと昔前までは「アルバイトが急に出勤しなくなって困る」「アルバイトが職場で問題行動を起こした」等の会社側からのものがほとんどでした。しかしながら、最近ではアルバイトの学生さんからのご相談が増加傾向にあり、具体的な内容としては「最低賃金未満で働いている」「シフトを削られて手当も出ない」等、労基法違反が疑われる事例に関わるものも多くあります。学生であっても、労働者としての意識がしっかりと高まりつつあるように感じられます。
インターネットの普及によって、誰もがあらゆる情報に触れることができる時代です。さらに言えば、学生が会社から受けた不合理な取扱いについて、SNS等を通じて学生自身が社会に向けて発信することも容易にできてしまいます。もちろん、こうした背景がなくても雇用する側が適切な労務管理に努めるべきことは言うまでもありませんが、「意図せず労基法違反」といったことのない様、これまで以上に法令遵守の意識を高めていく必要があります。

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