2026年7月より障がい者雇用率が「2.7%」へ!企業が遵守すべき障がい者雇用における6つのルールを再確認

現状、民間企業における障がい者雇用率は「2.5%」、つまり常用雇用労働者40人に対して障がい者1人以上を雇用する義務があります。この障がい者雇用率は段階的に引き上げられることが決定しており、今後、障がい者雇用率制度の対象企業の幅は一層広がっていきます。今号では、企業が遵守すべき6つのルールを改めて確認しましょう。

障がい者雇用率は2026年7月から「2.7%」に引き上げ

2023年1月18日開催の第123回労働政策審議会障害者雇用分科会において、民間企業に適用する障がい者雇用率は2023年度より2.7%に引き上げる旨が決定しました。ただし、現場における計画的な雇入れ対応が可能となるよう、2023年度は2.3%で据え置き、2024年度から2.5%、2026年度から2.7%と、段階的な引き上げ方針が示されていました。障がい者雇用率2.7%とは、常用雇用労働者数37.5人につき1人の障がい者を雇用する義務が生じるということです。新たに障がい者雇用率制度の対象となる企業においては、障がい者雇用率制度への対応準備を進める必要があります。

参考:厚生労働省「第123回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)

ご存知ですか?企業が遵守すべき、障がい者雇用の6つのルール

障がい者雇用の今後より一層の広がりに鑑み、企業においては今一度、障がい者雇用促進法に規定される障がい者雇用のルールを改めて見直されておく必要があります。

障がい者雇用のルール① 障がい者雇用率制度

一定数以上の労働者を常時雇用する事業主は、常用雇用労働者に占める身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者の割合を、法定雇用率以上にする義務があります。障がい者雇用率は現状「2.5%」、2026年7月からは「2.7%」となります。

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障がい者雇用のルール② 障がい者雇用納付金制度

障がい者雇用は、作業施設や作業設備の改善、職場環境の整備、特別の雇用管理等における経済的負担を伴います。このことを踏まえ、障がい者を多く雇用する事業主の経済的負担軽減、事業主間の負担の公平を図りつつ、障がい者雇用の水準を高めることを目的に、「障害者雇用納付金制度」が設けられています。

  • 法定雇用率を未達成の企業のうち、常用労働者100人超の企業から、障害者雇用納付金を徴収
  • 本納付金を原資として、法定雇用率達成企業に対し、調整金、報奨金を支給
  • 障がい者雇用に際し、作業施設・設備の設置等について一時に多額の費用の負担を余儀なくされる場合に、その費用に対し助成金を支給

参考:独立行政法人高齢・障がい・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度の概要

障がい者雇用のルール③ 雇用の分野における障がい者の差別禁止及び合理的配慮の提供義務

2016年4月施行の改正障がい者雇用促進法では、障がい者に対する職場での「差別禁止」「合理的配慮」を事業者の義務としています。

  • 障害者に対する差別の禁止
    事業主は、募集・採用において、障害者に対して障害者でない者と均等な機会を与えなければなりません。また、賃金・教育訓練・福利厚生その他の待遇について、障害者であることを理由に障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはなりません。
  • 障害者に対する合理的配慮
    事業主は、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するため、募集・採用に当たり障害者からの申出により障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければなりません。
    また、障害者である労働者と障害者でない労働者との均等待遇の確保や、障害者である労働者の能力発揮の支障となっている事情を改善するため、障害の特性に配慮した、施設整備、援助者の配置などの必要な措置を講じなければなりません。ただし、事業主に対して「過重な負担」を及ぼすこととなる場合は、この限りではありません。

関連記事:『万全ですか?障がい者に対する職場での「差別禁止」と「合理的配慮」

障がい者雇用のルール④ 障がい者職業生活相談員の選任

障がい者を5人以上雇用する事業所では、「障がい者職業生活相談員」を選任し、その者に障がいのある従業員の職業生活に関する相談・指導を行わせなければなりません。併せて、障害者の雇用義務のある事業主は、企業内で障がい者雇用の取組体制を整備する「障がい者雇用推進者」を選任するよう努める必要があります。

参考:厚生労働省「障害者を雇用する上で必要な3つの手続きをご存知ですか?

障がい者雇用のルール⑤ 障がい者雇用に関する届出

障がい者雇用率制度の対象企業では、毎年6月1日現在の障害者の雇用に関する状況(障害者雇用状況報告)をハローワークに報告する義務があります。

参考:厚生労働省「障害者雇用状況報告書及び記入要領等

また、障がい者を解雇しようとする事業主は、その旨を速やかにハローワークに届け出なければなりません。

参考:厚生労働省「障害者を雇用する上で必要な3つの手続きをご存知ですか?

障がい者の雇用ルール⑥ 障がい者の虐待防止

障がい者を雇用する事業主は、障がい者虐待を防止するため、労働者に対する研修の実施、障がい者や家族からの苦情処理体制の整備などの措置を講ずることが必要です。

参考:厚生労働省「障がい者虐待防止

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