働き方改革で示された「産業医の機能強化」。企業がとるべき具体的対応とは?【労働基準法改正2019】

いよいよ2019年春より始動する働き方改革では、「産業医・産業保健機能の強化」に向け、いくつかの取り組みが事業者の義務となることをご存知でしょうか?
産業医を選任する事業場においては、確実に対応できるよう準備を進める必要があります。

今号では、働き方改革で求められる「産業医機能強化」について、おさえるべきポイントと具体的な対応をご紹介します。

働き方改革対応!「産業医・産業保健機能の強化」に向けた事業者責任

「産業医・産業保健機能の強化」に向けて、新たに事業者の義務になった事項のポイントは下記の2つです。

✓ 産業医の活動環境の整備
✓ 労働者に対する健康相談の体制整備、労働者の健康情報の適正な取扱いルールの推進

今後、事業者が主体となって産業医が活動しやすい環境作り、継続的かつ計画的な労働者からの健康相談等への対応に努めていかなければなりません。さっそく、それぞれの概要を確認しておきましょう。

産業医の活動環境の整備とは

[現在]
産業医は、労働者の健康を確保するために必要があると認めるときは、事業者に対して勧告することができます。

[改正後]
事業主から産業医に対し、長時間労働者の状況や労働者の業務状況など、労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報を提供しなければなりません。

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[現在]
事業者は、産業医から勧告を受けた場合は、その勧告を尊重する義務があります。

[改正後]
事業主は、産業医から受けた勧告の内容を衛生委員会に報告することとしなければなりません。また、産業医からの勧告内容を元に、衛生委員会にて実効性のある健康確保対策の検討に役立てることとします。

労働者に対する健康相談の体制整備、労働者の健康情報の適正な取扱いルールの推進とは

[現在]
事業者は、労働者の健康相談等を継続的かつ計画的に行う必要があります。

[改正後]
・事業者は、産業医等が労働者からの健康相談に応じるための体制整備に努めなければならないこととします。
・事業者による労働者の健康情報の収集、保管、使用及び適正な管理について、指針を定め、労働者が安心して事業場における健康相談や健康診断を受けられるようにします。

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参考:厚生労働省『労働政策審議会建議「働き方改革実行計画を踏まえた今後の産業医・産業保健機能の強化について」を公表します

このように、現状の努力義務が義務規定として強化されたり、事業者が具体的に取り組むべき内容が明示されたりといった改正が見られます。ここでご紹介した内容は、改正の概要です。今一度、参考URLにある資料を読み込み、事業者に求められる事柄を確認しておきましょう。

事例で理解!長時間労働者に対する産業医による面接指導の流れ

本号では、「産業医・産業保健機能の強化」をより分かりやすく、具体的に捉えるために、「長時間労働者に対する産業医による面接指導の流れ」をご紹介しておきます。働き方改革の実現に向け「長時間労働の是正」に努めることはもちろんですが、万が一長時間労働者が生じた場合、事業者としてどのように産業医と連携していくべきかを把握することができます。

出典:広島労働局『働き方改革_パンフレット「働き方改革」(広島労働局 監督課版)

2019年春に予定される改正法施行によって「拡充される内容」「新設される内容」を中心に正しく理解しておきましょう。

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働き方改革においては、どうしても「時間外労働の上限規制」や「同一労働同一賃金」等のテーマばかりが注目を集めがちです。しかしながら、従業員数50名以上の事業場では、今号でご紹介した「産業医・産業保健機能の強化」への対応にも目を向け、万全な体制で対応できる様にしましょう!

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