地方公務員の副業解禁続々|普及のカギは『基準の明確化』

企業における社員の副業・兼業解禁を追い風に、地方公務員の間でも同様に、副業・兼業を認める流れが起こりつつあるようです。公務員の副業・兼業の解禁は、一般企業以上にハードルの高いものと感じられますが、実態はどうなのでしょうか?
今号では2019年10月から職員の副業・兼業を解禁した福井県の事例をご紹介することにしましょう。

地方公務員の副業解禁 福井県職員の事例

さて、福井県では「現場で輝け!福井県地域ビジネス兼業促進制度」という名目で、新たに県職員の副業・兼業制度が創設されました。本制度の趣旨は「積極的に地域ビジネスに参加し、県内の団体・企業とともに現場の課題解決に取り組むこと」とされており、以下の要件を満たす場合に職員の副業・兼業が許可されます。

✓ 対象者
在職1年以上の一般職

✓ 対象業務
地域の発展や社会課題解決に寄与する公益性の高い事業

✓ 報酬
社会通念上、相当と認められる範囲

✓ 労働時間
勤務時間外で週8時間以下、1ヵ月30時間以下、勤務日は3時間以下

✓ 人事課長に許可申請書を提出し、毎年度末に活動実績を報告すること

地方自治体で進む副業解禁

地方公務員の副業解禁は、すでに2017年に兵庫県神戸市、奈良県生駒市、2018年に長野県で制度が開始されています。国家公務員についても、2018年6月の「未来投資戦略2018」内で、今後解禁に向けた環境整備が進められる旨が明記されていることから、今後も各地方自治体で同様の制度導入が進むものと見込まれます。
「地域の発展や社会課題解決に寄与する公益性の高い事業」の一例としては、スポーツ少年団やまちづくりイベントなどへの参加、学校で部活動の外部コーチ等が挙げられます。

参考:日本経済新聞「福井県、職員の副業・兼業を解禁 基準明示に歓迎の声

公務員の副業はそもそも禁止ではない?

ところで、現状「公務員は副業禁止」との認識が一般的ではありますが、現状「禁止」されているわけではなく、あくまで「制限」されているに過ぎないことをご存知でしょうか?

地方公務員の副業・兼業について規定する地方公務員法第38条を見ると、下記の様に読み取ることができます。

地方公務員は、任命権者の許可がないと、
・営利企業の役員にはなれない
・自ら営利目的の起業をしてはいけない
・報酬をもらって働いていけない

参考:電子政府の総合窓口e-Gov「地方公務員法

もっとも、「制限」とはいえ「報酬をもらって働いてはいけない」以上は、実態として「禁止」と見るのが妥当ですね。なぜこのような制限が設けられているのかといえば、憲法で「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と定められているからです。

昨今進む地方公務員の副業・兼業解禁の流れでは、自治体ごとに制限解除の要件となる「任命権者の許可」に関わる具体的な基準が示され、職員が現実的に活用を検討できる制度化に向けた動きを見てとることができます。

副業・兼業解禁に向け、地方自治体が取り組むべきは「勤怠管理方法の見直し」

地方自治体での副業・兼業解禁を受け、今後制度利用が進む上で注意したいのは「勤怠管理」です。地方自治体が副業・兼業を許可する場合、今回ご紹介した福井県同様、労働時間についての制限を設けることと思います。職員の労働実態を客観的かつ的確に把握するためには、従来の勤怠管理方法を見直す必要も出てくることでしょう。副業・兼業者の労働時間管理については、下記の記事で解説した通り、「労働者の自己申告」を前提とする方向でも見直しが進んでいるようですが、各現場における課題となることは間違いなく、対応策の検討が求められます。

【参考記事】打刻ファースト「【勤怠管理】副業・兼業者労働時間に関わる「通算ルール」が変わります

企業の副業・兼業解禁に伴う社員の労務管理についても、下記の記事にまとめています。各自治体においても、制度検討の参考になさってみてください。

【参考記事】打刻ファースト「【公務員も副業解禁!】どうする?副業・兼業をする社員の労務管理

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ABOUTこの記事をかいた人

HM人事労務コンサルティング 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。 労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。