東京都では、都内18の労働基準監督署で毎年定期監督が実施されています。
平成30年の定期監督等実施結果では、定期監督等の実施事業場のうち、実に「72.5%」に労働基準関係法令違反が認められたとの報告がされています。
どのような違反が多いのでしょう?また定期監督の対象とされた時はどのような対応が必要なのでしょう?
本記事で解説します。
目次
定期監督等の実施事業場の72.5%で法違反。最も多い違反内容とは?
平成30年に都内労働基準監督署が実施した定期監督等では、労働者からの情報や労働災害の報告等を元に、前年の1万607事業場を上回る1万2668事業場が対象とされました。
調査結果では、全対象のうちの72.5%に当たる9188事業場で労働基準関係法令違反が発覚したことが明らかにされています。
※ 定期監督等とは?
各種の情報、労働災害の報告などを契機として、労働基準監督官が事業場に対して実施する検査のこと
その際、労務管理や安全衛生の状況を確認し、法令違反などがあれば是正・改善を指導される
違反の内容は、上記の通り、多い順から「違法な時間外労働」「割増賃金不払い」「機械・設備等の危険防止措置に関する安全基準に関わるもの」となっています。
出典:東京労働局「東京都内の労働基準監督署における平成30年の定期監督等の実施結果」
上記の表には、労働基準法と労働安全衛生法それぞれの対応条文が記載されています。
今一度該当箇所について確認し、御社では法に合った対応ができているかどうか、違法状態となっている項目はないかをチェックされることをお勧めします。
参考:
電子政府の総合窓口e-Gov「労働基準法」
電子政府の総合窓口e-Gov「労働安全衛生法」
定期監督の対象とされたら?適切な対応を考える
さて、打刻ファーストでもたびたびご紹介している労働基準監督署による「定期監督」や「是正指導」ですが、いざ自社が監督の対象となり、調査されることになったとしたらどのように対応するのが正解なのでしょうか?
いざという時のために、定期監督への適切な対応を把握しておきましょう。
そもそもなぜ定期監督の対象となるのか?
今回ご紹介した実施結果にも明記されている通り、定期監督の対象は「各種の情報、労働災害の報告」等から絞り込まれています。
具体的な要件としては、労働者等からの相談や通報、労働災害の発生の有無が想定されます。
各労基署では、厚生労働省の地方労働行政運営方針及び各都道府県の労基署の監督計画等に基づき、監督件数や調査対象業種の割合を定め、実際に調査する事業場を決定します。
定期監督では何が行われるの?
調査の方法としては、「抜き打ち調査」の他、「事前に通知した上での立入調査」、「事業場の担当者を労基署に来署させる調査」等があり、実際には文書や電話等で通知の上で実施される立入調査が多いようです。
調査では、
✓ 労働者名簿、出勤簿、賃金台帳といった法定帳簿の他、労働条件通知書、36協定を始めとする各種労使協定等、事業場に備えるべき書類の点検
✓ 代表者や労働者からの聞き取り
等を通じて、法令違反が認められないかどうかを調べます。
事業所は、調査時に提出を求められている書類をできる限り揃えて対応しましょう。
現状未作成の書類について、実態に則さない内容でとりあえず形だけを整えて提出することはお勧めしません。
この場合、作成できていないが今後対応する意思がある旨を伝えます。
違反があった場合はどうなるの?
調査の結果、法令違反が認められたとしても、直ちに送検や社名公表等の厳しい処分が待っているわけではありません。
まずは是正に向けた指導が入るので、その内容に則った対応を検討していくことになります。
会社の適切な対応としては、監督官の意見・指導を素直に聞き入れ、改善に対し前向きな姿勢を貫くことでしょう。
指摘されたことに対して反抗的な態度を示したり、書類の改ざんや虚偽の報告をしたりといった行為は厳禁です。
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