終業時刻から次の始業時刻の間に一定時間の休息を確保する、「勤務間インターバル制度」。
長時間労働の是正が目指される働き方改革においては、本制度導入による一定の効果が期待されるものの、現場においては未だ広く普及しているとは言い難い状況にあります。
今号では、企業が勤務間インターバルの導入を前向きに検討できるよう、導入に向けた手順をご紹介します。
目次
そもそも、「勤務間インターバル制度」とは?
勤務間インターバル制度の導入手順を解説する前に、まずはこの制度の概要について復習しておくことにしましょう。
勤務間インターバル制度とは?
勤務間インターバル制度とは、働く人が生活時間や睡眠時間を十分に確保できる様、1日の勤務終了後から翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保する仕組みのこと。
休息時間として「9時間~11時間」のインターバルの設定が奨励されており、「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」では、「9時間以上11時間未満」「11時間以上」の区分で支給額が定められています。
出典:厚生労働省リーフレット「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて」
勤務間インターバル制度導入のメリット
勤務間インターバル制度を導入するメリットとしては、以下のことが挙げられます。
・健康維持に向けた睡眠時間の確保につながる
・生活時間の確保によりワーク・ライフ・バランスの実現に資する
・魅力ある職場づくりにより人材確保・定着につながる
・企業の利益率や生産性を高める可能性が考えられる
勤務間インターバル制度や助成金については、打刻ファースト内の以前の記事でもご紹介していますので、ご一読下さい。
参考:
打刻ファースト『過労死防止対策のカギに!働き方改革の一手として「勤務間インターバル導入」のススメ』
打刻ファースト『【発想の転換で労働時間短縮を狙う! 「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」に注目】』
打刻ファースト『「勤務間インターバル」の導入が努力義務に。導入企業の実例に学ぶ【労働基準法改正2019】』
これでOK!「勤務間インターバル制度」の導入手順
企業において実際に勤務間インターバルを導入する上では、「どのような手順で進めればよいのか」が問題になると思います。
この点、平成30年12月に公開された「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会報告書」には、導入手順の図解が掲載され、各ステップの詳細が紹介されています。
出典:厚生労働省『「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」の報告書を公表します』
ポイントは、「労働時間の実態を正しく把握した上で、適切なインターバルの設定や必要なツールの導入、社内規程の整備などを進めていくこと」です。そして、可能な限り「試行期間」を設け、制度の効果や課題を検証しながら、徐々に自社に合った形に整えていけるのが理想です。
「勤務間インターバル制度」の普及に向けた政府の取り組みは?
勤務間インターバル制度を導入する上で、現場における問題点がいくつか想定されます。このたび公開された報告書では、下記4つの課題が挙げられています。
・制度の認知度が低い
・制度導入の手順が分からない
・就業規則の整備等に係る経費負担
・突発的な業務が発生した際の代替要員の確保
これらの課題に対し、今後は政府主導で下記の支援が行われる見込みです。
○ 導入事例集を活用し、行政機関はもとより地域の関係団体等と連携して制度の周知を行う
○ 制度導入の手順をまとめた「導入に向けたポイント」を参考に、更なる導入促進を図る
○ 助成金による導入支援を引き続き行うとともに、労務管理の専門家による相談支援を実施する
・平成31年度も、時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)による導入支援が引き続き行われます。また、申請にあたり、申請者の負担軽減等の観点から、助成要件や申請様式の見直し、添付資料の削減等の手続簡素化が図られる見込みです。
・都道府県労働局に配置されている働き方・休み方改善コンサルタント、平成 30 年4月以降に全都道府県に設置された働き方改革推進支援センターに配置されている派遣型の専門家などにより、個別企業への就業規則整備に向けた支援が行われます。
○ 関係省庁が連携を図りながら、取引環境の改善に向けた取組を一層推進する
時間外労働の上限規制の適用等に関わる中小企業への配慮から、今回の労働時間等設定改善法の改正において、事業主等の責務として、短納期発注や発注の内容の頻繁な変更を行わないよう配慮に努めることと規定されました。
今後ますます拡充される、勤務間インターバル制度導入企業への支援。御社の働き方改革の一環として、勤務間インターバル制度の活用を検討されてみてはいかがでしょうか?
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