労基署が調査に来る!~法人化して初めての調査~

法人化して3~5年経つと労基署からの調査が入ることが多いようです。まだ労務管理に慣れていないので、いろいろ指導されるかと思います。しかし、初めての場合は、わからないケースが多いので、厳しい指導という話は聞きません、ただし、法律に沿っていない場合は、是正勧告が入りますので、指導されたら必ず近日中に是正しましょう。是正が遅れると催促が入って厳しくなります。また、以前は、この調査で雇用契約書の不備や社会保険の未加入、残業代の未払いについての指導が多かったのですが、今はどうなっているのか、最近の相談事例をもとにご紹介します。

雇用契約書について

雇用契約書については、就業場所の具体的な表示が指導されました。特に事業所が多い場合は、具体的に記載が必要です。事業所を掛け持ちしている場合は、必ず複数の事業所を記載しましょう。また、最低賃金以下の時給や給与の場合も指導されます。ただし、雇用契約書は入社した最初の物しかないケースがほとんどなので、その時の最低賃金だと現状に合わない場合があります。そこで、今はこれだけアップさせていますと、賃金台帳で示すことができれば大丈夫です。本来は賃金が変われば毎年雇用契約書を変更しなければならないのですが、そこまで行っている会社は少ないので、そこは問題にならないでしょう。

ただし、注意したいのは給与の額です。基本給に各種手当を入れて最低賃金にしている場合は、指導対象となります。基本給だけで最低賃金に満たないと法律違反です。最低賃金で基本給を決めている場合は、毎年アップすることになりますので、注意が必要です。

社会保険の未加入

週30時間以上働いている労働者は、社会保険に加入させなければなりません。出勤簿やタイムカード、賃金台帳等からチェックされます。時々30時間を超える場合は、「その時忙しかった」とか「人手が不足していた」等で説明できれば大丈夫です。ただし、恒常的に30時間を超えているのであれば、指導対象となります。

残業代の未払い

残業代については、出勤簿や賃金台帳から厳しくチェックされます。「15分くらいは大丈夫」と支払っていない会社も多いのですが、要注意です。確かに15分くらいはロッカーで話をしたりして仕事をしていないかもしれませんが、いくら「雑談をしているから払っていない」と言っても通りません。そうであれば、会社を出る時間ではなく、仕事が終わった時間に職場ですぐにタイムカードを押させるべきでしょう。今では1分単位で支払っている会社が多いのが現状です

賃金台帳における実労働時間

つい最近指導を受けた会社がありました。実労働時間を毎月20日と設定していてその計算で平均賃金をだし、欠勤の場合の時給を計算していました。実際は、月20日ではなく22日の日もあれば祝日が多くて19日の日もあります。ただし、給与の基本給は毎月同じです。

なぜこのようにしていたかというと、中途採用の方が多いので、通勤手当等計算しやすいようにと一律の日数にしていたようです。実労働時間は毎月同じで、残業代は実際の働いて時間を超えた分で支払っていたので、ここに矛盾を生じたようです。つまり実際の8時間を超えた分の残業代は払っていたので、そこの問題ではなく、毎月の労働時間を実労働時間で表示しなさいという是正勧告でした。このケースの場合は、就業規則に各種手当が月20日で計算されるようになっていたので、ここは就業規則を修正してすべて実際の月数で計算するようにされました。

チェックが厳しくなった有給休暇

まず、有給休暇簿を作成していないと作って下さいと指導が入ります。現実には、出勤簿やタイムカードに有休と記載しているからと作っていない会社が多いものです。しかし、働き方改革により有給休暇の取得義務化が法律化されたことで、有給休暇簿の作成は必須となりました。まだ、作成していない企業は、作成することをお勧めします

また、まだまだパートやアルバイトに有給休暇を取得させていない会社さんを数多く見かけます。特に週〇日や月〇日と決まっていない場合や、シフト勤務で毎月バラバラに出勤をするといった場合に多いようです。付与日数がわからないため、そのまま有給休暇を与えていないというわけです。しかし、有給休暇の付与日数は、週単位でなくても年単位で何日働いているかによっても決められていますので、半年後に与えていなければ法律違反となります。特にシフト勤務が多いアルバイトの有給休暇取得のチェックは厳しくなったようです。「シフト勤務のため毎月バラバラで出社しているのでよく日数がわからなかった」という言い訳は通じませんので、注意してください。

まとめ_指導された通りに対応すれば大丈夫

初めての労基署の調査ですが、最初日時等告げられてびっくりし、何をどうしようかと悩むのですが、間違いがあったとしても「〇〇してください。○○した書類を××日までに確認させてください」と期限は切られますが、厳しいものではありません。指導された通りに修正等行えば何ら問題はありません。ただし、労基署の担当者によって、厳しい指導もあれば、優しい担当者もいるので、何もそこまでと思うケースもありますが、それは企業のためだと割り切って従うことが肝要です。

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